Science

2010.02.10

2000ドルの自家製飛行機

Text by kanai

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ボクがまだ12歳でダラスに住んでいたころ、ある日、ボクは父に車に乗せられてラブフィールドに住む大叔父のTroyのところへ行った。彼は当時、アメリカ中を旅して、トロイと名のつくすべての街を、自分で作った軽飛行機で巡っていた。ボクはそのベニヤ張りの飛行機を内側から見て、匂いも覚えている。Troyはボクたちに “オートパイロット” 装置を披露してくれた。それは操縦桿に3本のロープを引っ掛けて、食事をとる間、飛行機が水平を保つようにした仕掛けだった。Troyはすべてのトロイを巡り終えると、アラスカの自宅に帰っていった。その5年後、彼は霧のハイウエイで玉突き衝突に巻き込まれて死んだ。ボクの家族には、彼の飛行機以外にも、TroyのMakerとしての伝説が残っている。彼は湖畔にジオデシックドームの自宅を自分で建てて、中の家具もすべて自分で作っていた。なかには玉突き台まであった。彼はカヌーもたくさん作った。それぞれに娘や孫の名前を付け、湖で船団を組んだ。その湖も、じつは彼が作ったものだ。湖というより、ダムを作ったと言ったほうがいいかもしれない。あの日の午後の空港で彼に会ったのが、後にも先にもあれ一度きりだった。
ボクは本物の飛行機を自分で作ろうとは思わないが、あのときの体験から、飛行機を自作する人たちに対してボクは特別な感情を抱くようになった。なかでも、Pietenpol AirCamper NX770CGの製作工程を詳しく紹介しているChuck Gantzerのページはゾクゾクするものを感じる。AirCamperは、Bernard Pietenpolによって1928年に設計された機体だ。小学校8年までの教育しか受けていないPietenpolだが、金物屋と廃材置き場で手に入る材料だけで「庶民の飛行機」を作り上げた。今でも、彼の子供や孫たちがその設計図を販売している。[Boing Boingより]
– Sean Michael Ragan
原文