Kids

2012.02.06

DARPA Mentor Award – 教育に物作りを

Text by kanai


O’ReillyのMAKE事業部と、パートナーとして活動してきたサンフランシスコのOtherlabが、Manufacturing Experimentation and Outreach(MENTOR:製造に関する実験と福祉活動)プログラムに貢献したことで、プログラムの主催者であるDARPA(米国防総省国防高等研究事業局)から表彰されました。今後このチームは、DARPAのMENTORプログラムの推進に主体的に協力し、物作りのための新しい設計ツールと協力的な実習活動の導入を高校に求めていくことになります。
MAKEのDale DoughertyとOtherlabのSaul Griffith博士が新しく創設したMakerspaceプログラムは、物理的な作業スペースに代わる、設計用オンラインツールや協力環境を統合したローコストな作業場を提供し、教育的サポートによって高校生たちに、最新技術や革新的な手法を使って実際に手を動かして物を作る体験を与えるというものです。今年から2013年までの学校年度にカリフォルニア州の10の高校で試験的に導入するのを手始めに、今後4年間をかけて、1000校以上の高校への導入を目指します。
MENTORは、DARPAのAdaptive Vehicle Make(適応車両製造)計画の一環として、分散型の協力的な製造方法や設計のための実験に高校生を参加させようというものです。MENTORの大きな目標は、今日的な賞金をかけたコンテストを通じて、高校生たちを工業的なデジタル製造の現場に触れさせることで、意欲ある次世代のシステムデザイナーや工業イノベーターを育成することにあります。
DARPAのレジナ・デューガン長官は「国家として私たちが直面している最大の困難は、物作りの能力が低下していること」だと語っています。これを受けて、Saul Griffithと私はDARPA MENTORへの参加を決めました。MAKEのコラムニストでHowToonsの共同開発者であり、起業家でもあるSaul Griffithは、自身がマスターMakerであり、未来のデザインや工学に対してユニークな見識を持っています。デザインやプロジェクトを共有できる高校生のための協力型プラットフォームの開発し、物作り教育のためのスペースを高校に設け、より多くの生徒に物作りの学習の機会を与えるという活動を、彼といっしょにできることを、私は大変にうれしく思っています。Makerspaceプログラムの一環として、Makerと教育者との交流の場として、また高校生の作品発表の場にと、Maker Faireを利用してゆくことも考えています。
物作りが、教育をどう変革していくか、どれだけの人たちがMakerムーブメントの波に乗って前進し、もっとも求められている教育改革のチャンスを掴むことができるかなど、注視したいことはたくさんあります。DARPAのMentor賞は、この改革を国家の優先事項として推進するものです。私たちは、Makerコミュニティと教育コミュニティをつなぐ架け橋だと思っています。Makerが持つ資産や技術を高校に、つまり教育環境に投入し、生徒に大切な物を与えつつ先生を支えます。私たちは、その方法を探っていきます。
Makerspace.comというウェブサイトを立ち上げました。プログラムの情報をまとめて紹介し、協力者を集めることを目的としています。また、Makerspacesのディレクトリを作るためのフォーラムも開設しました。参加者同士でアイデアや実施体験を共有するためのネットワーク作りに役立ててください。Makerspaceは、言うなれば、若いMakerと、彼らを支える教育者を助けるための、教育ハッカースペースです。Makerspaceプログラムの目標のひとつに、Makerspaceを安価に開設することがあります。中学校、市民センター、高校などに開設できれば、より多くの人が参加できるようになるでしょう。
MITのデューガン博士が2011年12月に行った講演です。
http://www.kaltura.com/index.php/kwidget/wid/_203822/uiconf_id/1898102/entry_id/1_z703hhb8/
こちらは2011年5月のTEDxでのSaul Griffith博士の講演です。

関連リンク:
O’Reillyからのプレスリリース
Makerspace.com
訳者から:DARPA の Adaptive Vehicle Make 計画は、短期間で高性能な軍用車両を開発製造するための計画で、軍事目的ってところが引っ掛かるけど、いろいろな人たちが教育改革に乗り出して、それに学校も協力して進めていくという形がうらやましいね。
– Dale Dougherty
原文