Fabrication

2012.11.28

3D SystemsがFormlabsとKickstarterを特許侵害で提訴

Text by kanai


1299ドルのホビイスト向け3Dプリンター、
Cubeや、より高価な工業レベルの3Dプリンターを作っている3D Systemsは、ホビイスト向け3Dプリンター市場でおそらく初めてとなる特許訴訟を起こした。
3D Systemsの主張によれば、Form 1 3Dプリンターのメーカー、Formlabsが、 「ステレオリソグラフィーによる複数レイヤーの同時カール」の特許を侵害しているという。Form 1は、プラスティックを押し出して立体オブジェクトを作るRepRap系DIY 3Dプリンターとは異なり、紫外線で硬化する素材にレーザーを当てて積層するステレオリソグラフィー(SL)方式を採用している。SL技術は、プラスティック押し出し式に比べて、ずっと解像度を高くできる。そのためForm 1は、価格がForm 1の何倍もするハイエンドの3Dプリンターとプリント品質で競合している。
Form 1もCubeもオープンソースではない。しかし、この訴訟、またこれに準ずる訴訟は、オープンソースの3Dプリンターコミュニティに衝撃を与えるものだ。
驚いたことには、3D Systemsは、Form 1が300万ドル相当のForm 1と関連部品の事前販売を行ったクラウドファンドサイトのKickstarterも訴えた。もし、そこを通して販売された製品が後に特許を侵害しているとわかったとき、Kickstarterを含むクラウドファンドサイトまで訴えられてしまうとなれば、クラウドファンドサイトにとって、大変に困ったことになる。
レーザーでレジンを硬化させる方式ではなく、DLPプロジェクター方式をとっている、やはりKickstarterで資金を得たステレオリソグラフィー型プリンター、B9 Creatorが3D Systemsの将来のターゲットになるかは、まだわからない。
1980年代から業界として確立しているプロ用の3Dプリンターの世界では、特許訴訟は昔からあった。RepRapプロジェクトとその派生製品が大きくなれたのには、融解フィラメント製造(FFF)技術の特許が切れたからという事実がある。FFFは、FDMやFused Deposition Modeling(熱溶解積層法)という用語でも知られているが、これらは、1980年代後半にこの技術を開発したStratasys Inc.の商標だ。
特許は、今でもDIY 3Dプリンター市場に制限を加えている。たとえば、ABSプラスティックでプリントする場合、プリントエリアを覆って内部を熱するのがよいというのは、よく知られていることだが、これに関してはStratasysが現在も有効な特許を握っていて、そうするのが一番であるとわかっていながら、完全に閉じた形のプリンターは販売できないようになっている。
3D Systemsは、DIY 3Dプリンターのメーカーが回避しなければならない特許の束を持っている。Stratasysもまた、DIY 3Dプリンター市場に直接影響する特許の出願に積極的だ。特許を握っている企業は他にもたくさんあるが、多くはそれほど気にすることはない。MakerBotですら特許を持っているのだ。
電子フロンティア財団は、先日、声明を発表し、この業界に害をもたらす可能性のある特許を特定するための協力を呼びかけた。
3Dプリントを拘束している主要な特許も、いずれは切れる。しかし、「クリエイティブ」な特許の図面は引き続きアイデアを封印し、最初の特許の20年間の有効期限を越えて、オープンハードウェアコミュニティによる発展に制限をかけてしまう恐れがあるのだ。
DIY 3Dプリント業界では、こうした特許訴訟が続くことになるだろう。
– Rob Giseburt
原文