Electronics

2012.12.28

リアルな3Dプリントショップを経営するDiego Porqueras

Text by kanai

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3カ月前、3Dプリンターのメーカー、Bukobotの創設者 Diego Porquerasは、Deezmakerという物理的な3Dプリントショップとハッカースペースをカリフォルニア州パサデナに開設しようと決意した。それがオープンしたときにこのブログでお伝えし、Bukobot 8についてはUltimate Guide to 3D Printingにレビュー記事を掲載して「もっとも革新的」と評価された。先日、我々はDiegoに会い、その後のショップとハッカースペースの様子を聞くことができた。
1. ショップとハッカースペースがオープンしてから3カ月になりますが、コミュニティーからは、Deezmakerはどのように受け入れられていますか?
オープンしてから、地元の人たちの反応にはずっと驚かされています。3Dプリントへの興味を示す持つ幅広い層の人たちが訪れています。ほとんど宣伝はしていないのですが、Bukobotを買いたい人や、もっと3Dプリントについて知りたいという人たちが、1日に5人から20人はやって来ます。職業も、不動産屋からNASAのジェット推進研究所の技術者までさまざまです。今までに、パサデナ・アートセンター、カリフォルニア工科大学の学生、地元の学区、ハリウッドの映画産業に務めている人、地元の技術者やホビイストなどからたくさんの注文をもらっています。これだけBukobotが売れた最大の理由は、ここへ来ればあらゆる問題について相談できる、または3Dプリントをどう始めたらよいかがすぐにわかる現実の場所があったことだと思います。
2. 今、ショップには何がありますか?
現在は、Bukobot 3Dプリンターキット(発送まで少し待ってもらうことになりますが)、フィラメント、3Dプリンターパーツの販売、3Dプリントサービス(Bukobotを使ったプリントと高品位なものはパートナーの製品を使って)、テーブルサッカーゲーム、そしてもちろんハッカースペースがご利用いただけます。
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3. クリスマスプレゼントに 3D プリンターを買った人はいましたか?
もちろんです。ほとんどがKickstarterキャンペーンを見た人だと思いますが、愛する家族に贈りたいといって予約を入れてくれた地元の人たちもいます。残念ながら、これだけ大量の注文をさばくのは大変なことで、一部の方に届くのは年末休みの後になってしまうかもしれません(それも理解してもらっていますが)。
4. 3Dプリンターとは何かを見にくる人はいますか? それとも、すでによく知っている人がほとんど?
ここを訪れるほとんどの人は、インターネットやビデオを通して3Dプリントについて多少の知識を持っているが、間近に見るのは初めてという感じです。Bukobotが目の前でパーツをプリントする様子を初めて見た人たちの反応を目の当たりにすると、私は感動を覚えます。みんなは決まって、このクールなテクノロジーに驚き、魅せられます。
ある女性などは、店に入って本当にびっくりした様子でマシンに15分間ほど見入ったあと、ようやく質問をしてきました。Bukobotのディスプレイを子供たちが見たときの顔は、ぜひ見てほしいです。本当に可愛いんです。目をいっぱいに見開いて、少し質問したあと、彼らはプリントして欲しいものを山ほど持って来るようになります。すでに3Dプリンターを持っているという人も、地元で直接話し合える人を探して、または一般的な情報交換のためにやって来ます。
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5. Deezmakerのハッカースペースについて聞かせてください。どんな機材があるか、またどんなイベントを催していますか?
私たちのハッカースペース/Makerスペースは、あらゆるプロジェクトにとって最高の場所です。チップソー、ハンドツール、ドレメル、ハンダごて、ドリルプレスなど、物作りに必要な標準的な工具に加えて、3Dプリンター(当然)、小型CNCルーター、旋盤、レーザーカッター(もうすぐ来ます)といった設備もあります。会員特典としては、大型プロジェクターに接続した私のビデオゲームコンソール(Xbox、プレイステーション、それにレトロなマシン)やサッカーゲームテーブルで遊べること、それにクラスやイベントの料金割引が受けられることです。
イベントに関しては、Crash Spaceが開催している「MakerBot Monthly」(毎月第三日曜日)のように、毎月の第一日曜日に 「3D Printing Monthly」ミートアップを、2013年1月6日から開こうと計画しています。無料で誰でも参加できます。どこの製品でも、見せびらかしたい3Dプリンターを持っている人や、聞きたいことがある人には最適なミートアップです。
3D Printing 101、Getting Started with OpenSCAD 3D Modeling、Intro to Arduinoのような正式な講習会や、もっといろいろなイベントを計画しています。また、多くの人によい場所を提供しているため、ここでは面白いグループがいくつも生まれています。クールなプロジェクターとすごいサウンドシステムのことは話しましたっけ? 映画ファンとして、大きなスクリーンを使ったムービーナイトも開きたいと考えています。
6. 現実の店舗を構えることの最大の利点はなんですか?
なによりも、3Dプリントの場合、バーチャルな世界がリアルな世界に引きずり出されようとしています。それを体感する唯一の方法は、それに手で触れて感じることです。非常に新しいテクノロジーなので、人々は最初に使ってみるまでに、ちょっと戸惑いがあります。しかし、材料を販売したりサービスを提供する店舗があれば、恐れていることの多くはなくすことができます。私は、テクノロジーの人間的な側面が戻って来ると確信しています。人々はバーチャルなネットの世界に長い間捕らわれていました。彼らはリアルな世界に戻りたいと思っているに違いありません。3Dプリントは、それを後押しするんです。
今、3Dプリントが置かれている状況では、それを体験する最良の方法は、実際に見ることです。3Dプリントしたオブジェクトは、それを手にとってみて初めて意味を持ちます。私のショップではそれができるのです。もうひとつ、素晴らしい動きはMakerムーブメントです。3Dプリンターとプロジェクト作業ができるハッカースペースがあれば、狭い家に住んでいながらすごい物を作りたいと思っている人の役に立てます。
小さなアパートにルームメイトと住んでいたり、ガレージのない家に住んで、実現すべき大切なアイデアをやプロジェクトを実行に移せないもどかしさは、私もよくわかります。Makerにとって最悪なのは、物が作れないことです。私がBukobotプロジェクトをスタートしたときは、幸いにも自分のアイデアを実現するスペースがありましたが、そうしたスペースを持たない人が世の中にどれほどいるのだろうと常に考えていました。そうして、Makerや発明家や学生たちがアイデアを膨らませてクールなものが作れる作業スペースを提供するハッカースペースを作ることが目標のひとつになったのです。
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7. 3Dプリントに関わってどれくらいになりますか? それによって周囲の景色は変わりましたか?
認めたくないけど、じつは3Dプリントと出会ったのは2011年の7月。1年ちょっと前、DIY 3Dプリントのニュースを読んだときなんです。信じられないことですが、それまでハマった何よりも、3Dプリントは私を強く引きつけました。最初から中毒状態で、それ以来、3Dプリントのことが頭から離れません。
この生まれたばかりの新しいテクノロジーに私がハマった最大の理由は、これが制限のない創造的なツールであり、欲しいと思ったものを、ほぼなんでも作ってしまうパワーです。ずっと私が求めてきたものでした。もうひとつの理由は、私が好きなほぼすべてのものを3Dプリントが網羅していたことです。私は、機械工学、エレクトロニクス、プログラミング、デザイン、発明といった持てるスキルを、このひとつのクールなテクノロジーに集結させたのです。そして、3Dプリントは最高に楽しい仕事になりました。もう単なる仕事とは言えません。
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– Goli Mohammadi
原文