Electronics

2013.02.08

2012年は3Dプリントの年だった

Text by kanai

2012年は3Dプリントが大きく飛躍した時代だった。まだ早期導入者の世界ではあるけれど、3Dプリントの魔神は壺の中からハッキリと姿を現している。

私は、一般消費者向けの3Dプリンターのメーカーに取材して、2012年はどんな年だったか、2013年以降はどうなるかを聞いてみた。将来の3Dプリント界に関しては、どこも大変に楽観的だ。なかには、もう新機種を発表しているところもあった。

Kickstarterで華々しくデビューしたPrintrbotは、創設者Brook Drummの期待どおりの道を歩んでいる。

「1年前、私の期待はゼロでした。たった1歳だったからです」と彼は語る。

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Printrbot LC Plusプリンター

2012年、Printrbotは約3,000台のプリンターを販売し、100万ドルを売り上げた。売り上げのほとんどは12月に集中していて、13年1月も登り調子が続いているとDummは話している。

「技術系メディアは待ちぼうけを食っているけど、大きな流れはそちらに向かっている」とのことだ。

Printrbotのベストセラーは、低価格(400ドル)のPrintrbot Jr.だが、もっと安いモデルが登場予定だ。Printrbotの低価格路線のビジネスプランでは、ターゲットは学校に絞られている。

最上級モデルとしては、トリプル・エクストルーダーを搭載したPrintbot Proを準備している。オール金属製で、Dummによれば、MakerBotのReplicator 2と競合するフラグシップとなるが、メモリーはずっと少ない。価格は1200〜1500ドルになるという。彼はこれを「キッチンシンク」モデルと呼んでいる。

その一方で、同社は3万件ものオープンソースの3Dファイルを共有できるiPhoneアプリ「Makrz」を発表している。

MakerBotと言えば、業界の優等生で売り上げの数字をなかなか公表しない会社だが、広報責任者のJenifer Howardによれば、MakerBot Replicator 2の売り上げは「予想以上」だという。 彼女がMAKEに見せてくれたデータでは、2009年から2011年にかけて、MakerBotのシェアは3Dプリンター業界全体の16パーセントに及んでいる。2011年のシェアは21.6パーセント。2012年は3Dプリンター業界全体の25パーセントになると見積もっている。現在、15000台以上の MakerBot製3Dプリンターが野に放たれていると同社は語っている。

サンフランシスコのType A は新規参入組のひとつだ。COOのEspen Sivertstenは、創設1年目の会社として、慌てずに、顧客の期待に丁寧に応えていきたいと語っている。

「実際のところ、私たちは、一部のプリンターメーカーが急いで規模を拡大して、その結果、販売されたプリンターが埃をかぶってしまうようなことになるのを心配しているのです。3Dプリントの素晴らしい世界を築くためには、プリンターに埃をかぶらせてはいけません」と彼は言う。

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Type A MachinesのSeries 1 3Dプリンター

とは言うものの、このマーケティングをしない会社も2012年は忙しい1年だった。Sivertstenも他の人々も、MAKE’s Ultimate Guide to 3D Printingの出版がこの技術を普及させるための鍵になったと指摘している。2012年1月にゼロからスタートしたType AはSeries 1プリンターを100台以上売り上げた。

「そこからは雪だるま式でした。3Dプリンターにとってよい年であったことは間違いありません」とSivertstenは言う。

彼は、2013年の目標は、3Dプリンターとは何かが知れ渡るようになった今、これで何ができるのかを多くの人に説明することだ言っている。その一貫として、Type Aのスタッフが何をしようとしているかを人々が自由に見に来られるようにと、同社はサンフランシスコのTech Shopの3階に本社を移した。

ポートランドのTrinity Labsにとっても、創設者、Ezra Zygmuntowiczが「商業的な可能性」がないと言い切ったプリンターが売れたことを考えれば、いい年だった。

Zygmuntowiczは2011年にこの会社を設立し、RepRap型のプリンターを組み立てるチームを集めた。しかし、MendelMaxプリンターの注文を抱え、販売の好機に恵まれたとき、彼はギアを入れ替えた。2012年、MendelMaxは350台のキットを販売したが、9月に受注を停止してしまった。彼はこのプリンターを気に入っていたのだが、何十時間もかけて、27もの業者から集めた400個の部品を組み立てなければならないことは、とてもユーザーフレンドリーなプリンターだとは言えないと思ったからだ。

先月、Trinity Labsは、Zygmuntowiczがやっと売る気になったプリンター、Aluminatusの販売を開始した。320×320×350ミリという業界最大級のプリントスペースがあり、価格は2200ドルほどになる予定だが、Zygmuntowiczは予約注文に対して割り引きがある。今月の出荷を前に、すでに100台が売れている。

「最初の50台は10日で売れました」と彼は言う。

大晦日、Trinityは1カ月で100,000ドルを売り上げた。同社の新記録だった。

「3Dプリントには火が点いている。今にも爆発しますよ」とZygmuntowiczは言う。

Trinity Labsは、75×75×75ミリという小さなプリントスペースの「ポケットプリンター」の発売も予定している。予算が厳しい学校に最適だとEzraは言っている。

「文字通り、折り畳めばズボンのポケットに入るサイズです」とのこと。

あなたは去年、3Dプリンターを買った? 今年買う予定? 意見を聞かせてほしい。

– Stett Holbrook

原文