Crafts

2013.11.13

フォード・フィエスタのトランスフォーマー

Text by kanai

hetain patel fiesta-transformer

イギリス人アーティスト、Hetain Patelが最初に所有した車は、父のお下がりの1988年型フォード・フィエスタだった。彼の最初の彫刻作品は、父と兄弟との共同製作により、この小型車を使ったトランスフォーマーだ。

Transformer-in warehouse

彼のアート解説に、なぜ、とどうやってが簡潔に説明されている。

イギリスで、インド移民の両親の間に生まれた私は、親から車を譲り受けたことで、独立第一歩を迎えました。これは、私が所有していたものと同じ1988年型フォード・フィエスタを新しく手に入れ、最初の彫刻作品に仕上げたものです。イギリスで製造されたこの車は、イギリスの労働階級のシンボル的な車です。自動車だけど、生粋の“イギリス人”です。

私とこの作品に影響を与えたもうひとつのものは、アメリカ映画で1984年から始まったオモチャシリーズの『トランスフォーマー』です。大変によく知られたポップカルチャーで、私の子どものころの思い出につながっています。この作品は、フォード・フィエスタを、大きなしゃがむ人間の姿に文字通りトランスフォームさせることで、トランスフォーマーを表現した、非常にわかりやすいものです。私にとって、この「robots in disguise」(アニメのテーマソング)は、ありふれたものから力のあるものへ変身できる夢の世界での、変身した姿の象徴です。

これを、父といっしょに作ったこと、そしてエンジニアでトランスフォーマーマニア仲間の兄弟、Pritum Patelに技術的な面で助けてもらったことには大きな意味があります。父は、車を霊柩車に改造する仕事をしています。すべての作業を手伝ってくれました。父といっしょに作ったのは、これが3回目です(この他の作品は、ビデオ作品のTo Dance Like Your Dad(2009)とライブパフォーマンスのMe and me Dad and me Wife(2012)です。どちらも2012年のTanks at Tate Modernで発表しました)。

人気のオモチャや映画と違い、この車は高性能なスポーツカーでもトラックでもなく、最強の戦士に変身するわけでもありません。安いフォード・フィエスタが、静かにしゃがむ人間のような姿に変身するのです。この姿は、私の作品に繰り返し現れ、インドでの下層階級と、イギリスでの移民の家族とをつなぐものでもあります。どちらも、こんなふうに楽に座っています。この彫刻では、従属的に見えるしゃがんだ姿勢と、この場合は不自然な大きさとの間に緊張感が生まれます。

hetain and his father

hetains first fiesta

下は製作過程のタイムラプス・ビデオです。

今年の初め、PatelはTEDで Who am I? Think again(自分は何者か、考え直してみよう)と題した刺激的な講演を行った。

[ありがとう、mjlevittation!]

– Goli Mohammadi

原文