Other

2014.02.14

インタビュー:レゴムービー作家、David Pagano

Text by kanai

10697203713_ea3792aad4_h

『LEGOムービー』が製作されるずっと前、レゴ好きのナードたちは素晴らしいコマ撮りアニメーションを作っていた。なかでもアニメーションスタジオ、Paganomationを共同運営するDavid Paganoはその第一人者だ。彼の作品は、Nickelodeon、ABC News、Lego.com、the Wall Street Journal、BrickJournalなどでも紹介された。

私はDavidに、「ブリックフィルム」とは何かを聞いてみた。

JB:ブリックフィルムとはなんでしょう?

DP:「ブリックフィルム」(Brickfilm)は、レゴ愛好家がフィルムとアニメーションの技法を使って物語を作る方法のことです。いろいろなスタイルやトピックがありますが、かならず共通する部分がひとつだけあります。レゴのブロックとエレメントを使うことです。

JB:あなたの作品の場合、1本作るのに平均してどれくらいの時間がかかりますか?

DP:Paganomationの製作方法はユニークなんです。レゴブロックの無限の可能性と、コマ撮りと、私たちの想像力を、現実的な制限、たとえばスケジュールや締め切りや重力などとのバランスを取らなければなりません。

ミニフィギュアを使ったプロジェクトでは、上映時間1分を、最短1カ月で作れるように考えています。つまり、3分間の作品を作るとしたら、作り始めから仕上げまでで少なくとも3カ月かかるということです。

これには、作ろうとする映像の複雑さは考慮されていません。ひとつのキャラクターが立ったまま話をする30秒のシーンは、ロボット宇宙船の中で複数のキャラクターが飛び回りながらレーザーで撃ち合い、爆発するなどといった30秒のシーンよりも、ずっと早く作れるのはご想像のとおりです。

大規模な作品のタイムラインとなると、また別の話です。私が大学の卒業制作で作った『Little Guys!』は、巨大なブロックのキャラクターを使ったものですが、完成に8カ月かかりました。内容はほんの2分半なんですが。

JB:ブリックフィルムを初めて撮ろうという人は、どこから入ればいいでしょう。

DP:いちばんいいのは、まずレゴで遊ぶことです。簡単で当たり前のことのように聞こえますが、子どものころに遊びながら作り上げたレゴの世界が、今の私の職業につながっています。そのきっかけは、「ふむ、なかなかよくできたな。これを使って何か物語を作ってみよう。それをビデオにして友だちに見せたら、どうだろう?」というものでした。

JB:ブリックフィルムに関する情報が得られるサイトを推薦してもらえますか?

DP:レゴアニメーション・コミュニティーのネット上の主要なハブになっているのが、BricksInMotion.comです。あらゆる種類のムービーが見られ、チュートリアルや情報やフォーラムもあるので、いろんな質問に答えてくれる人がたくさんいますよ。

また私は、レゴアニメーションのブログ、The Set Bumpで、David M. Pickett(The Nightly News at Nineの作者)といっしょにキュレーターをしています。いろいろなゲストブロガーも参加しています。レゴアニメーションのニュース、レビュー、ツール、チュートリアルなどなど盛りだくさんです。

JB:基本的なシーンのデザインと撮影の方法を教えてください。

DP:私たちの場合、特定のシーンを作る前に、すでに台本とストーリーボードができています。それを元に、ストーリーの観点から、何が必要かを考えます。時間があれば、ムードボードも作ります。シーンの色やレイアウトやトーンをどんな雰囲気にするかを決めるコラージュのようなものです。

それから、ビルドを始めます。Paganomationで作られる作品には、すべてに新しいチャレンジが盛り込まれています。TLG(The Lego Group)のための作品で、特定の製品の宣伝に使われるものの場合は、その製品をできる限り目立つように紹介します。別のクライアント向け作品(または独立した作品)の場合は、最高にクールに見えるように作ります。

すべて組み上がったら、見た目に美しく、同時に撮影しやすいようにライティングを行います。レゴはつるつるなので、ちょっと角度を間違えると妙な反射が入ったり、光がちらちらしてしまうため、レゴムービーのライティングは厄介です。アニメーションを始める前に、試し撮りをして、そうした問題を洗い出します。

それから、アニメーションです。コマ撮りは時間もかかるし、大変な労力を強いられます。私たちの作品の場合、ひとつのショットで3時間から8時間かかります(もっとかかることもあります)。たまには自分だけで作業することもありますが、私はできるだけ他の人の助けを借りて作業するようにしています。そうすることで、私はセットとキャラクターに集中できます。そして、私が「ドライビング」と呼んでいるコマ撮りソフトの操作と、再生確認と、アニメーションの中でのセットのつながりの確認などの作業を人に任せることができます。

アニメーションを作っている間は、セットの見栄えについては考えません。あくまで、最終的な映像で画面に映っているものが重要なのです。

JB:あなたのKickstarterプロジェクト『Little Guys … in Space!』について聞かせてください。

DP:『Little Guys… In Space!』は、さっきお話しした学生時代の卒業制作作品の続編です。2011年から作業に入っています。2012年にはKickstarterで製作資金を得ましたが、作業量の予測が付きにくかったことから、実際のアニメーション製作に入ったのはほんの数カ月前でした。今年の年末までには、なんとしても公開したいと思っています。

『Little Guys!』は、80年代のオモチャのコマーシャルへのオマージュというかパロディーでしたが、『Little Guys … In Space!』は、(うその)オモチャシリーズの次なる論理的段階に入っています。宇宙へ舞台を移したことで、もっとすごいものになっています。ギャグ満載で、ビルドもすごくなっています。このムービーの進行状況と撮影風景は、私たちのKickstarterページかFacebookページを見てください。

といったところで、仕事に戻らなくちゃ。

his picks of cool brickfilmsで、彼が推薦するブリックフィルムや彼の作品が見られる。

6070293766_da72f48e8c_b

訳者から:LEGOムービー』は3月21日日本公開です。

– John Baichtal

原文