Crafts

2014.05.27

SFCに「Fabspace」オープン。第1号作品はデジタル刺繍ミシンを使った似顔絵トートバッグ

Text by tamura

fabspace_tote

IMG_0835

IMG_0832

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のメディアセンター(図書館)に、「Fabspace」がオープンした。Fabspaceには、3Dプリンター6台、3Dスキャナー2台、カッティングマシン2台、ベーパーカッター1台、デジタル刺しゅうミシン2台が設置されている。

メディアセンターにこのようなFab機材が導入されたのは昨年度から。昨年は3Dプリンター4台を稼働させてきた。「すべての学生が自由にFabできる」この環境をつくった旗ふり役は、環境情報学部の田中浩也准教授、筧康明准教授、水野大二郎専任講師らだ。総監督は村井純学部長。

村井教授によると、「昨年度は経費の見込みがつかずに難儀した」という。学生が3Dプリンターをフリーに使えばフィラメントの消費量も際限なくふくらむ……しかし実際には「そうでもなかった」。「3Dプリンターの出力速度が遅いんだ! そのぶん予算があまったから今年は機材も増やせた」と、冗談まじりに機材のさらなる性能向上を熱望する村井教授。服飾デザインを専門にする水野講師は、手芸系マシンの増強による相乗効果に期待する。「機材の組み合わせで、DIY系、電子工作系、手芸系のFabが融合していくはず」。

そのデジタル刺しゅうミシンで製作された第1号作品が、上のトートバッグ。

製作者の環境情報学部3年・森川好美さんは、ミシンと刺しゅうデータ作成ソフト「刺しゅうPRO NEXT」の到着を待ちわびていた。5月初めに到着。「ミシンの使い方を早くマスターしたい」とさっそく製作に取りかかったのは、母の日のプレゼント。実家にいる弟・英彦くんにお母さんの似顔絵をクレヨンで描いてもらい、写メで送ってもらった。それをもとにデータを加工、刺しゅうしてバッグを縫いあげた。5月10日の母の日に間に合わせるため、3日たっぷり熱中したという。

仕上がったバッグは、もとの素朴に絵がデジタル刺しゅうで絶妙な味わいとなっている。遠隔の姉弟のコラボで特急製作した点も、Fab作品ならでは。お母さんはもちろん、「とっても喜んでくれた」そう。

SFCでは今年度より、製作のアイデアやプロセスを共有・派生できるサービス「gitFAB」のVer.αが公開されるなど、Fab関連プロジェクトが次々と本格稼働し始めている。

(5月20日開催のSFC「Fabspace」開設記念パネルディスカッション・メディアカンファレンスにて)

─ 窪木淳子