Fabrication

2014.10.03

アセトンで3Dプリントした作品を滑らかにする術

Text by kanai

final result vs starting product
処理した結果と元のプリント。

3Dプリンターは、家でも工房でも、すごいものを作ってくれる。プロトタイプをプリントしたり、日常の便利な小物をプリントしたり、これまでには作れなかったようなフィギュアを作ったり。

しかし、一般的なフィラメントを使うプリンターには共通の問題点がある。どんなに上手にプリントしても、表面に筋が残ってしまうことだ。これは、細かいレイヤーを重ねていくというプリントの方式によるもので仕方がない。

3Dプリントコミュニティのありがたいところは、ほとんどの人が自分で考案した方法や技を人に教えたがるという点だ。プリントの表面処理もそのひとつ。

少し前、箱の中にプリントとアセトンを入れて、少しの時間過熱するという方法を見た。プリンターの加熱ベッドを使ってこれをやる人が多い。私も試してみたが、なかなかいい。しかし、この方法は明らかに危険だ。換気の悪い工房で、アセトンを入れた容器を加熱して圧力を高めるというのは、どうにも安全ではない。

その後、加熱する必要はないということに人々は気がついた。それなら、うんと安全にアセトン処理ができる。

この方法はABSでのみ有効であることに注意していただきたい。
スムージングチャンバーの材料はごくわずか。

– 大きすぎないコンテナ。
– ペーパータオル
– アルミホイル
– アセトン

ビデオを見てわかるとおり、ペーパータオルがアセトンが均等に充満するようにする。アルミホイルはプリントに直接アセトンが付かないように保護する役割を果たしている。

入れておく時間はコンテナとプリントのサイズ、そしてアセトンの量によって異なる。ちょうどいい時間は試行錯誤で探らなければならない。なので、同じものをいくつかプリントしてテストするとよいだろう。

The original piece had a bad spot, evident in some other pictures. This was not an effect of the acetone
元のプリントにまずい部分がある。他の写真でも見られると思う。これはアセトンの影響ではない。

Note the previously mentioned print issue on the smoothed head. This is not due to the acetone (it actually makes it look better!)
例のプリント時の問題箇所はスムーズ化したあとでも残ってしまった。これはアセトンのせいではない(でもずっと良くなった!)

comparing the final result to the initial model
処理後のものと元のプリントの比較。

another angle for comparison
別の角度から比較。

the ridges give the object a matte look from afar
筋があるお陰で全体がツヤ消しになってしまう。

a shorter time in the chamber results in a less "melted" look
チャンバーに入れる時間が短いと、効果も薄い。

ひとつ言っておかなければならないが、アセトンを使っても筋を完全に消し去るのは難しい。チャンバーに長い時間入れて置いたプリントは、縦の面は完全にスムーズになったものの、まだレイヤーの跡が見えてしまう。頭の上などの平らな部分には、はっきり見える形で筋が残った。

normal ridges from printing
プリントしたままの筋。

completely smooth to the touch, ridges still visible
完全にスムーズ化したものの、まだ筋が見える。

仕上がりに関する個人的な感想だが、ちょっと溶けすぎという感じだ。そのほうがいい場合もあるが、筋が残っていたほうがいいことが多い。とは言え、この方法はもっと掘り下げるべきだろう。いつ、これが必要になるかわからないからね。スキルのツールボックスに入れておく「ツール」は多いほどいい。

– Caleb Kraft

原文