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2014.11.24

世界遺産を訪ねて2400分の1模型で再現する精巧な世界―ばーちゃわーるど[MFT2014レポート]

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世界遺産の精巧な模型を製作する「ばーちゃわーるど」

「模型工房ばーちゃわーるど」の主宰、亀田誠さんの趣味のひとつは世界旅行である。

旅をふり返るのに一般的なのは、現地で撮影した写真や動画を見ることだろう。しかし亀田さんの旅のふり返りはひと味違う。訪ねた世界遺産の模型を製作するのである。

10センチ平方ほどの小さなジオラマベースに再現された世界遺産は精巧そのもの。出力サービスで光造形出力したものをレジンキャストで複製し、プラモデル用の塗料で塗装する。ガレージキットの製作・販売で一般的な手法であり、これらの世界遺産も同様にMaker Faire Tokyo 2014の会場で販売されている。

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3Dプリンタの利用法として完成の域に達している「ばーちゃわーるど」のブース

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2400分の1で再現されたアンコールワット(カンボジア)。実寸でできるだけ細かくモデリングしたデータを、縮小コピーするようにこのサイズで出力する

モデリングにはTrimble SketchUpを使っている。直観的な操作が特徴のサーフェスモデラーである。ひとつのデータは数MB程度と決して大容量ではないが、モデリングしたそのままが3Dプリンタで出力されるため、手作業では不可能な精密さを表現できる。

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最初に製作したフィレンツェ大聖堂は1000分の1スケールと大きい。製作コスト削減のために家庭用3Dプリンタとレーザーカッター、光造形を適材適所で使い分けた

趣味でも続けていると思わぬ道が開けることがある。亀田さんの場合はいくつかの大使館からの連絡だった。

「自分の国の世界遺産が3Dプリンタで模型になっていると知ってご招待いただきました。ギリシャ大使館ではパルテノン神殿、ウズベキスタン大使館ではサマルカンドのジオラマが現在展示中です」

亀田さんはご家族そろってMaker Faire Tokyo 2014に来場している。奥様は「旅行が好きなのは夫婦で同じなので、ガンプラはちょっとと思うけれどこれなら」と前向きな評価。小学生の娘さんは少しずつモデリングができるようになってきているという。

東京五輪に向けた壮大な計画

亀田さんは2020年の東京五輪に向けて、「Yokoso Japan!! 2020(ようこそジャパン!! 2020)」と題して各国の人々を歓迎するジオラマを製作中である。

前回のロンドン五輪に選手を派遣した国や地域は200以上。ふさわしいモチーフを得るために今度は亀田さんのほうから各国の大使館へ問い合わせるなどして情報収集を進め、現在14のジオラマが完成している。

「ばーちゃわーるど」の世界遺産や「Yokoso Japan!! 2020」は、Maker Faire Tokyo 2014のブース「8-7」にて展示中である。

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ネパールの「目の寺院」ことスワヤンブナート。「Yokoso Japan!! 2020」のジオラマのスケールは2400分の1にこだわらず、山や生物などもモチーフとしている

– 今村 勇輔