Electronics

2014.12.18

ELシート、ELワイヤーで甲冑が光る! 淺野健一さんの「avatar-yoroi」シリーズ[MFT2014]

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妖しく光る甲冑のインパクト

前面の装飾が、ライトブルーに光り輝く甲冑。近づいてみると、首と肩を覆う部分にはワイヤーが仕込まれていて、こちらもカラフルに発光している。勇壮な武具と電飾の組み合わせの新鮮さ、カッコよさは、Maker Faire Tokyo 2014でも大いに注目を集めた。

このような日本の伝統工芸の技術と電子工作を組み合わせてアート作品を制作しているのが、淺野健一さんだ(ウェブサイトはこちら)。Faireで、淺野さんのブースには、テーブル1つに作品がぎっしりと並べられた。

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中央の3点が光る兜の「avatar-yoroi」シリーズ[左から、頭形兜(ずなりかぶと)、星兜、陣笠]。左は、和建築の技法で作られた唐破風ガチャ機「浮島」(専用コインで回す)。右には茶運び人形が置かれている

これらの作品は、すべて淺野さんの手作り。高度な技術によって作り込まれた作品に驚きつつ淺野さんに話を聞くと、淺野さんはもともと「仏像修復」の仕事をしていたのだという。絵画や陶磁器といった文化財の“修復”が、同等のものを制作できる技術がないとできないように、仏像の修復も、仏像の制作ができなければ可能にはならない。淺野さんはもともと、伝統的な仏像の制作技法「一木造り」「寄木造り」といった木工技術、「脱活乾漆(だっかつかんしつ:漆で布を固めて成形する技法)」やニカワやウルシの扱いなどを修得してきたのだそうだ。

その多彩な技術で、ガチャ機の繊細な組み木、からくり人形が実現され、頭形兜が鉄板から打ち出されている。巨大な装飾パーツが印象的な甲冑は、江戸時代の古物を購入、修復して飾り部分(専門的には「鍬形(クワガタ)」という)にELシート、垂れ下がった覆いの部分(「シコロ」という)にELワイヤーを仕込んだ。「各色、何本ものELシート、ワイヤーを結線して配線していくのがなかなか難しかったです。ワイヤー同士をつなげる場合、髪の毛の様に細い線をはんだ付けしなくてはならなくて。1カ所でもショートしていたら、全部点灯しないですしね」と、淺野さん。

淺野さんは今後、センサーで反応するようなインタラクティブな作品作りに挑戦していきたいと考えている。同じ手仕事のクラフト分野でも、服飾や手芸とはまた違う、日本の伝統的な工芸分野と電子工作の融合。ここからはこの先、インパクトのある作品が生まれてきそうだ。

- 窪木淳子