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2015.02.16

メイカースペースが開かれた(インクルーシブな)場所であることが、なぜよいことなのか

Text by James Tiberius Burke
Translated by kanai

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メイカースペースのコミュニティには、大きな性の壁がある。STEM(理系)分野では、そうした性差による問題がよく現れている。一部には開放的になろうと努力している前向きなスペースがあるものの、かなり苦戦を強いられている。ただし不可能ではない。多くの実例(Artisan’s Asylumの溶接コースやDouble Unionの存在など)が開放的なメイカーコミュニティを実現している。現在、Pumping Station: OneのErica Teslaが同様の努力を行っていることを、私はうれしく思う。

彼女はoxJane.comの6 Women Who Need Makerspaces (Including Me)(メイカースペースが必要な(私を含め)6人の女性)という取材記事を書いている。メイカースペースが前向きで開放的になるために必要なエッセンスについて書きながら、初めて訪れた人を生涯のMakerにするための漠然とした秘密についても探っているのだ。タイトルを見てわかるとおり、これが個々の典型を並べたリスト式の記事だ。さまざまなタイプのMakerにとって有効なスペースを作るために必要な材料を丁寧に紹介している。熱心なMakerのグループがいることと、彼らのためのツールが揃っていることもスペースにとっては重要だが、自分の可能性を広げたいと思いやって来たメンバーにやる気を出させて後押しする活動も重要だ。そうした雰囲気がつねに求められる。

あなたが分子料理が好きだからって、それであなたを判断する人はいません。メイカースペースの常連たちは、素直に何かが好きな人たちと交わりたくてやって来るのです。ある意味、インターネットと反対です。この意見に悪意はありません。

Ericaがオリエンテーションに力を入れている地元のメイカースペースで学んだのは、新しいメンバーに、現状を受け入れるのではなく、問題解決に貢献させるよう背中を押すことだった。

私が属しているスペースでは、オリエンテーションのときに有望なメンバーにはこう言っています。「4時間以内にやめられる人は、許可はいりません。やめてください」と。人々を集めて、ずっとそうしたアドバイスををしてきたのですが、それはやめさせるためではありません。それは開放することであり、自信を付けさせることなのです。

Pumping Station: Oneの創設者であり、元理事会メンバーだった私は、私が「ホーム」と呼んでいたそのスペースが数年間で躍進したことを大変に心強く思っている。みんなが参加者としての自覚をより高め、素晴らしく多様なコミュニティとなるために、より開放的にする努力をしてくれたからだ。2009年当時は、たしかにそこが私たちの弱点だった。何年間も私たちが重視してきたのは、先行性だった。30人の小さなグループは仲が良かった反面、新しい人間を入れようという考えはなかった。今思うと当時の私たちは、一生懸命で、一貫性がなく、Ericaが言うところの「男性ホルモンがむんむんで少なくとも10人は顎髭を生やしている」集団だった。私は、Pumping Station: Oneの前会長、Anne PetersenとBryanna Denneyの、先行性ばかりに重点を置かず、新しいメンバーを入れることに力を入れようという努力してくれたことに感謝しているが、すべての人にとって安全で開放的な環境にしていく努力を今も続けている。2015年1月には、会員数は372名を数えるまでになった。理事会の判断が正しかったということだ。

しかし、メイカースペースのメンバー募集に関しては、まだまだやることがある。せめて、わずかながらメイカースペースに関する知識を持つリーダーが多いと宣伝できれば間違いはないのだが、いまだに単なる口コミによる宣伝に頼っているところが多い。ウソだと思うなら、リンクした記事のコメントを見てほしい。自分たちの興味の世界を大きく広げて喜びにわく新人Makerたちの声が聞かれる。それはいいことだ。まだ、それが新鮮に感じられる人たちがいるのだ。だからこそ、私たちはメイカースペースで何時間も過ごせるのだ。新しい視野や経歴を持つ人が増えれば、スキルの幅を広くなり、グループとしての知識が深まり、コミュニティが豊かになる。さまざまな分野の経歴を持つ新メンバーを迎え入れるための枠組みを作れば、それが長期にわたる成功へつながるのだ。

だが、間違えないでほしい。開放への努力は、まだまだ道半ばだ。Erica Teslaからすれば、進行の兆候が見えているといった程度だろう。時間はかかるが、いい兆候は見えている。たとえ一人ずつであったとしても、その進歩は喜ばしいことだ。

みなさんのメイカースペースではどうだろう。より幅広いメンバーを集めるために何をしている? 最初から開放的だったというスペースの運営者のみなさんには、何が有効で、何が失敗だったか教えてほしい。コメントをください。

原文