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2015.03.11

成長の痛み ─ Quirkyのビジネスモデルが抱える問題

Text by jennnowicki
Translated by kanai

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(日本語版編注:Quirkyとはユーザーの製品アイデアをコミュニティ内で評価し、ある基準に達したものを製品化、販売するニューヨークの企業です)

「私たちは発明を実用化します」と謳うのは、インターネットを通じて一般の発明家から送られたデザインから製品を開発する企業、Quirkyだ。現在、1,000人以上の発明家から400を超える数のデザインが届けられている。スタートアップにとって、これは複雑で野心的なモデルだ。ちょっと野心的すぎるかもしれない。

さまざまなメディアによる多くの称賛の記事とは裏腹に、Quirkyのインフラにはひび割れが生じ始めている。Quirkyの最近開かれたタウンホール・フォーラムにおいて、CEOのBen Kaufmanは、顧客サービスが大きな負荷になっていると認めた。

フォーラムの最後のツアーでは、同社のメールボックスに3,200通ものメールが開封されずにあること、そして、製品の発送が遅れていることが示された。注文した客は、製品が発送されるまでにあと7日間待たなければならないという。

だが、Quirkyの問題はもっと深いところにあるようだ。そしてそれは製品にまで及んでいるように思われる。いくつかの製品は、未完成の状態で市場に出てしまっているのだ。ひとつ例をあげると、QuirkyのWinkアプリを利用するスマートホームだ。スマートホンをタップするだけで、家電製品をコントロールできると謳っている。

「多くの利用者があり、気に入られています」とフォーラムでWinkについてKaufmanは話し、2015年には100万人の新規ユーザーを見込み、360万個のWink関連製品を出荷すると派手にぶち上げていた。

しかし、GizmodoのAdam Clark Estesは、最新のWink関連製品を大規模に (4500ドル相当) 採り入れたのだが、彼の報告は輝かしいものではなかった。窓のブラインド以外は、宣伝どおりには働かなかったのだ。なかにはまったく使えないものもあった。これは「これまでにない簡単さでスマートホームを」というWinkの宣伝文句に反する。これは人に誤解を与えるとEstesは感じた

こうした問題を踏まえ、「かならずしも儲かってはいない」とKaufmanは認めている。Quirkyコミュニティ(発明家と開発者)は製品の売り上げから900万ドルを稼いでいるものの、Quirkyの損失は1億ドル以上に達している。

ひとつ解決策があるとすれば、開発を認めた製品の膨大な数を減らすことだ。Kaufmanもそのように検討すると言っている。それだけではサービスの停滞と製品の品質が向上するわけではないが、資本を節約し必要なところにだけ使うということで、少しは息がつけるだろう。

全体として、Quirkyのモデルは素晴らしいアイデアだが、2015年を乗り切るためには改善が必要だ。

原文