Electronics

2015.10.14

Netflixが公開したムービーナイトボタンは、ボタンを押すだけで照明を暗くし、食事を注文し、テレビに映画を上映するDIYプロジェクト

Text by Caleb Kraft
Translated by kanai

毎週金曜日、我が家ではある儀式を行う。仕事や学校関係のものはすべて部屋の片隅に放り出し、その夜はすべてを忘れる。電話はマナーモードに、メールも閉じる。ピザを注文して、ビーンバッグを引っ張り出して、犬たちと座って映画を見る。我が家だけではないだろう。家族ごとにライフスタイルはコトなり、いろいろな事情があるだろうが、同じようなことをしている人は多いはずだ。ただ座って、リラックスして、食べて、映画を見る。

さて、Netflixはそこをよく理解していて、その準備を簡単にしてくれる。ボタンを押すだけで、照明が暗くなり、食事がオーダーされ、電話が切られ、テレビに映画が上映されるのだ。

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写真に写ってはいるが、このプロジェクトにRaspberry Piは使われていないようだ。

このボタンは「ザ・スイッチ」と呼ばれている。Netflixの最大のポイントは、誰にでも作れるように作り方を公開しているところだろう。きれいな写真付きで、ステップごとに丁寧に解説している。

材料は少ない。全体をコントロールする頭脳には、さまざまなデバイスやネットワークに接続できるプロトタイピングボード「Particle Core」が使われている(Coreが手に入らなくても心配はいらない。よりパワフルで安価なParticleの新型ボード。Photonが使える。その他にもネット接続可能なボードなら応用できる)。テレビのリモコンの赤外線信号を教えてやる必要があるのだが、このプロジェクトではリモコンにNetflixボタンがあることが想定されている。しかし、そのボタンがないテレビでも対応策はちゃんと用意されている。もうひとつ、照明を暗くするためのスマート電球など、スマートデバイスが必要だ。

私たちは、これをWorld Maker Faire New Yorkで実際に見てきた。そのコンセプトは最高に面白い。とくに目を惹くのは、このプロジェクトのオープン性と魅力的な内容だ。ちょっと見たところ、Amazonが最近発表したボタンひとつの注文デバイス(Amazon Dash Button)のように見える。ボタンを押すだけで製品が注文されるというやつだ。しかし、Netflixのボタンはまったく違う。自分で作れるように解説がされているし、さらに重要なことには、自分の用途に合わせてカスタマイズする方法も教えてくれているのだ。そこがAmazonの、蓋の開かない固定的な製品と180度違うところだ。

もちろん私たちも、デザインと作り方が公開され、自分の好みに合わせて自由に作ることができる点を気に入っている。作業場にいる人たちに映画が始まることを知らせるベルを鳴らす、なんてこともできるのだ。Netflixは明示的に言っているわけではないが、他のサービスのリモコンでも使えるようにできる。このボタンに何をさせるかは、究極の選択だ。

原文