Kids

2015.11.02

ダンボール大好き! Maker Faireで見つけたダンボール作品8選

Text by Nathan Hurst
Translated by kanai

ダンボールが大好きだ。簡単に扱えて、丈夫で(ある程度)、リサイクルができる。どこにでもあるし、きれいな作品を作りたいときは買うこともできる。そして、Maker Faireの出展者も来場者も、みんなダンボール好きであることがわかった。「箱はその中身とおなじぐらい楽しい、という名言につきます」と語るのは、NYSCI(New York Hall of Science)のMichaela Labriole。中に入れるドームから、ゲームや楽器まで、ダンボールはどこにでもある。ここに、私たちが選んだ8つの作品を紹介しよう。

Pinbox 3000

P1000113

バーモントには、根強いダンボール・ピンボールマシンの文化があると、Cardboard Teck InstantuteのBen T. MatchstickとPete Talbotは言う。彼らはモントピーリアからたくさんのミニサイズのダンボール・ピンボールマシンを持ち込んできた。どれも来場者の間で大人気だった。彼らはずいぶん以前からダンボールを使って大きな構造物を作ったりしているが、レーザーカッターが使えるようになってから、さまざまなゲームを素早く作れるようになったという。「ダンボールのいいところは、2回測って1回切る、なんてことをしなくて済むことです。新しいダンボールを使えばいいんだから」とMatchstick。ダンボールは安いけど頑丈で、どこにでもあって、そして儚い。

Obilab ダンボール・ドラムキット

P1000079

Romain Dilouyaは腕のいいドラマーだ。プロミュージシャンの彼は、Obilabの創設者、Patrick ObadiaとCaroline Cullièreといっしょに、ダンボールで練習用のドラムキットを作った。安くて、収納も簡単なドラムキットだ。

ただダンボールを叩くだけのものではない。ObadiaとCullièreは、スネアとハイハットには米粒を入れ、シャーッという音が出るようにしている。さらに、理想的な叩く位置にはファイバーグラスが接着されている。これによってダンボールが補強されるだけでなく、叩く位置の目印にもなり、叩いたときの感触が本物のドラムに近くなる。このプロジェクトは、街中の住宅でも騒音を気にせずに練習できるドラムセットが欲しいというDilouyaの悩みから生まれた。ドラムの先生たちも、よくダンボール箱を叩けと生徒たちに教えている。

開発チームによれば、このプロトタイプはすでに数百人の人たちに叩かれてきたという。たしかに、Maker Faire New Yorkでは、子どもたちに遊ばれてずいぶんくたびれて見えるが、まだしっかりしている。紙製にしては大したものだ。しかもこれは誰かに刺激を与えるもののようだ。これをプレイしたある女の子はこう話していた。「これがアイデアをくれたの。ダンボールでバイオリンが作れるって。どんな音がするかしら」

Kit Rex

IMG_4996

ダンボールはリサイクルできる。それはいいことだ。ただし、レーザーカットして作ったダンボールの作品をリサイクルされないかぎりは。Kit Rexの開発者、Lisa Gloverは、金曜日の夜に設置を終えたブースに戻ってみると、プロジェクトがすべて消えていた。Maker Faireのクルーが捨ててしまったのだ。

そのプロジェクトはMouseとBensonという、ダンボールでできた2つの恐竜のコスチュームだ。Gloverは、リーハイ大学の卒業制作としてこれらをRhinoでデザインした。「冷たい目で見られていたので、ダンボールでもっと大きなことをしないといけませんでした」と彼女は語る。そして、Mouseは3つのMaker Faireに出展され、多くのハロウィーンパーティーにも登場した。そして今、Gloverはいろいろな種類のデスクトップサイズのダンボールの恐竜を作っている。

MouseとBensonは、なんとかゴミ箱から救出された。ただ、Bensonの背中のパネルは見つからなかった。しかしもともとダンボールなので、Gloverは新しい背中を切り出して手で貼り付けてやった。

NYSCIの村:Cardboard Creations

CardboardMarsCity-2

New York Hall of Scienceには宇宙を題材にしたダンボールの村がある。そこに行くと、子どもたちにダンボールとテープと緩衝材(そして特殊な切断ツール)が与えられ、火星基地を作るように言われる。

ダンボールはパーフェクトだと、NYSCIメイカープログラム・ディレクターのDavid Wellsは言う。なぜならそれは、リサイクル可能で、環境にやさしく、シンプルで自由で、そしてなにより馴染み深い。「素材が手に馴染めば、いろいろに使えるようになります」と彼は話していた。

Opencreators Mannequin

P1000063

Kang MinhyukとJang Saeng Kimは、ダンボールを使って3Dプリンターを作った。金属では危険なこともあるが、ダンボールなら安全だし手触りもいい。それに、外側を交換できるとKimは言う。「私たちは教育のために子どもたちに使ってほしいんです」と彼は話す。この韓国の2人組は、このキットを販売している。2時間ほどで組み立てられる。価格は899ドル。

巨大な熊の頭

CardboardBear-2

Bartholomew Tingは、自らをダンボール彫刻家と呼ぶ。彼の作品はたいてい大きくて、中に人が入れるようになっている。Tingは、3ds Maxでデザインした頭の作品を初めて、Maker Faire Singaporeで発表した。「ジグソーパズルのようなものです」と彼は言う。Tingはボランティアの手を借りてMaker Faireの期間中にこれを完成させ、続けて、実物大のF1カーを作った。

P1030357

フロイトとアウグスティヌスの夢と黙示録の物語

P1000120

ダンボールはどこにでもあり、タダか非常に安価で、柔軟性もあると、ここ数年間ダンボールを使い続けている彫刻家のJody Culkinは言う。彼女は2つのオートマトンを作った。ひとつはフロイトの夢分析をテーマにしたもの。もうひとつは、アウグスティヌスの神の国をテーマにしたものだ。見た目は不気味だが、回転するメカニズムは楽しい。

「デジタル技術によってダンボールの使い方も変わりました」と彼女は話す。通常はデザインカッターで切っているが、上部や側面の形状はレーザーカットしている。

彼女はダンボールを刺激的な素材であり、プロタイピングに向いていると言う。「ダンボールそのものに、さまざまな美があります」と彼女は語っていた。

原文