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2016.04.01

心に響くMaking:R2-KTの物語

Text by Paul Gentile (The Hobby Guy)
Translated by kanai

もうみんな、最新のスター・ウォーズ『フォースの覚醒』は見たと思う。“アストロメカニカルスター”のBB-8もね。でも、反乱軍の基地でピンクのR2型ドロイドが動いていたのは気がついたかな? ピンクのドロイドとはR2-KTのことだが、それには深い物語があった。これは、第501軍団の創設者、Albin Johnsonの娘、Katie Johnsonにちなんで名付けられたドロイドなのだ。

第501軍団(またの名を Vader’s Fist)は、世界中に何千人ものメンバーを持つ、ストームトゥルーパー、ダースベイダーをはじめ、スター・ウォーズのダークサイドのキャラクターに扮装するグループ。チャリティー会場に現れたりして世界の人々に笑顔を与えている。Katie Johnsonも、父親と同様、スター・ウォーズの大ファンだ(現実の世界に帝国軍を作ってしまった父親を持つ娘としては当然のことだろう)。しかし残念なことに、2004年、7歳のときにKatieは末期の脳腫瘍と診断されてしまった。第501軍団の仲間の支援を受けて、家族は娘の脳腫瘍というダークサイドと戦うこととなった。

ある日、教会で、Katieの姉Allieは、窓がR2-D2に見えると言った。そしてAllieは、KatieのためにR2-D2を作って、『エピソードⅡ クローンの攻撃』のときにパドメの面倒を見ていたR2のように、治療を行う妹に付き添わせたらどうかと進言した。時間に余裕がないため、AlbinはR2ビルダークラブに連絡をとり、ドロイドの製作を依頼した。クラブの会員は快くこれを引き受け、Katieの守護者のためのパーツを無償で提供した。その間のいつのころか、Allieはドロイドの名前を妹の名前にちなんでR2-KTにしてはどうかと提案した。

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時間はあまり残されていない。Katieの様態は悪くなる。R2ビルダーのJerri Greenは、ドロイドをピンクに塗ってJohnsonに送った。こうしてR2-KTが生まれ、短い時間であったが、スター・ウォーズと同じぐらい人生を愛していた小さな女の子の守護者として働いた。それから1カ月後の2005年8月9日、Katie Johnsonはこの世を去った。

Katieが亡くなったあとも、Johnson一家はこの伝説のR2-KTを持ち続けた。そして、R2-KTを連れて世界中の病気で苦しむ子どもたちや、末期を迎えた子どもたちを慰問して、彼らにもっとも必要な喜びを与えている。R2-KTはまた、Make-A-Wish財団のチャリティーなどで何十万ドルもの寄付を集めた。R2-KTのミッションは終わらない。そして多くの人の心に触れている。

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2007年、R2-KTはファンが作ったドロイドから、スター・ウォーズの世界の正式なメンバーとなった。テレビアニメシリーズの『クローン・ウォーズ』の監督、Dave Filoniは、R2-KTをエピソード10のシーズン5にカメオ出演させた。『フォースの覚醒』の撮影が始まると、J. J. エイブラムズ監督は、スター・ウォーズの世界との精神的なつながりを持つファンの期待と、R2-KTの物語とその使命を理解し、それを撮影セットに招いて反乱軍に加えたのだ。Katie Johnsonはほんのわずかな年数しか生きられなかったが、彼女の伝説は、いまや遠い遠い銀河の果てまで届くようになった。そして未来永劫、生き続けることになるだろう。R2-KTの活躍はこのウェブサイトで見られる。

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原文