Crafts

2016.06.21

15歳の少女が始めた非営利のアップサイクル事業

Text by Bill Livolsi
Translated by kanai

Maker Faireでは、創造性について語る人が大勢いる。その中にときどき、自分を一段階上の人間に引き上げてくれる刺激的な人がいる。私の場合、それは「To Green and Beyond」の創設者で、15歳のRajee Shahだった。Shahは、ジャンクメールやカタログや古い地図などをアップサイクルして、紙のイヤリングやペンダントライトなど、さまざまなものを作っている。私は、Maker Faire Bay Areaのゾーン2で出展していたShahに会い、話を聞いた。

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「3年前にペーパークラフトを始めました」と語るShah。「そのとき8年生でした。ほとんどなんの経験もない状態で、なんとなく退屈していたので、何か面白いものはないかとPinterestを見ていました。そして紙のビーズを見つけたのです。私はそれをたくさん作り始めました。そして、とても楽しんでいる自分を発見しました」この趣味は、すぐに大きく発展した。「たくさんの人に言われました。(ビーズ)がとてもかわいいので、販売するべきだって。私は考えました。このまま作り続けて今に家のなかをビーズで埋め尽くすぐらいなら、それを売って、そのお金を何かに役立てたほうがいいと」

Shahによると、利益をチャリティーに寄付するという考えは昔からあったという。「私が小さいころ、お誕生会を開いたのですが、みんなにプレゼントを持ってこないように言いました。そのかわり、そのお金をチャリティーに寄付してほしいと伝えたのです」。そこまで寛大になった理由を尋ねると、「私の家族がそうだからだと思います。社会にお返しをすることがとても重要だと教わったのです。私は恵まれた環境に育ち、なんでも手に入る素晴らしい土地に住んでいます。だから、恵まれない人たちのために社会にお返しをしないといけないのです」

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Shahは手を休める気配をまったく見せない。「私は本当に好きなことを見つけたのです。そして、これをいいことに役立てることに燃えています。今のところ、私は4つの団体に寄付しました。最初は、世界中のいろいろな人を助けるマイクロファイナンスのKIVAでした。特に、環境に優しい事業と苦労を抱えている女性を援助したいと思っています。また、Kids and Artにも寄付しました。私もときどきそこで、アーティストとしてボランティアをして、オークションにかけてガン治療の費用の足しになるようにと、イヤリングを寄付しています。さらに、インドのSHWASという団体もあります。恵まれない家庭に生まれて教育を受けられない子どもたちを援助しています。私は彼らに寄付をして、彼らを通して数人の子どもたちの学費を支払っています。特に女の子を助けたいと思ってます。今は、2人の7年生の女の子を援助しています。彼女たちの学費のほか、本なども買えるように寄付をして、彼女たちが学校へ行って勉強ができるようにしています。4つめは、AAUW(米国大学夫人協会)です。3年前、私はスタンフォードのTech Trekというキャンプに参加しました。そのスポンサーがAAUWだったのです。完全に奨学金ベースなのですが、審査があります。そのキャンプの目的は、7年生の女の子をSTEM(理系)分野に留まらせることにあります。その年代が、STEMから離れていく率が多いからです。なので私は毎年850ドルを、女の子を支援する彼らに寄付しています」

この3年間で、Shahはジュエリーやクラフトを売って5,000ドルほど稼いだ。こんなに若い子どもにしては、すごいことだと私は思う。それに、3年もの間、ずっと同じことをやり続けているのがすごい。「重圧に思ったことはありません。よく聞かれますが、感じたことがないんです」

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今や趣味がビジネスになった。それでモチベーションは変わったかどうか、彼女に聞いてみた。「まだ楽しくやっています。しかし、責任も感じています。私には、私を頼っている人がいます。たとえ利益が減ったとしても、私の都合で勝手に止めるわけにはいきません。相手の人たちを困らせてしまうからです」

話の後、Maker Faireの喧噪の中で、Shahは椅子に座ってイヤリングを作り続けた。彼女は、すでに作ってあったビーズといっしょに、それを作るための道具も持ち込んでいた。なので、製品がよく売れると(私たちが話している間もよく売れていた)、彼女は在庫を追加する。Shahはジュエリー用の針金を一定の長さに切断し、よく見るイヤリングの輪の形に丁寧に曲げていく。これらの針金には、アップサイクルした紙のビーズや装飾品が付けら、そして、ペンチで捻って落ちないように留める。全部で10分程度の作業だが、かなり手なれた感じだ。

ブースは非常にシンプルに見える。折りたたみ式テーブルが2つと、どこに寄付されるかを示したサインボードがあるだけだ。「私の活動を理解してもらえることは、とても嬉しいことです。他の人たちも、同じように世界の人を助けてくれたらと思います」

[原文]