Crafts

2016.08.26

無理だと考えられていることを実際にやってみて、そうではないことを実証する。— ダンボールでプールを作ることの意味

Text by Homemade Game GuruTranslated by kanai

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2011年、北アメリカの大半を異常気候が襲ったとき、私はダンボールでプールを作った。それは正気の沙汰ではない、不可能と思われるものだった。それはまた、私のYouTubeチャンネルの方向性をがらりと変えるきっかけにもなった。こうした方向性の転換を私は、「転換点発明(pivot point invention)」と読んでいる。転換点発明は、それまでの経歴を方向転換させてしまうほどのアイデアで、最初はまったく意味がわからず、後にそれで成功して、その人の創造的方向性の再考を促すというものだ。

たしかに、私の発明は、その名前を聞けば突拍子もなく馬鹿げていると思うだろう。2立方メートルの大きなプールを大きなダンボールと建築用の接着剤と防水剤と木片で作ろうというのだ。これは、テキサス人がどうやってあの大変な干ばつを生き抜いたかを振り返るビデオを見ていたときに頭に閃いた。世界を変えたり、テキサスを干ばつから救ったりするような考えではない。ただ、捨てられているダンボールで、誰にでも作れる家庭用の簡単なプールを作る方法を思いついただけのことだ。干ばつのなかでね。

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プールの製作に入る前、私のYouTubeビデオは子ども向けの初歩的な工作が中心だった。オモチャやパズルや、安全な武器など、簡単なものばかりだ。2009年にヒットしたものに、ダンボールバズーカがあった。だが、それ以降はパッとしなかった。

2011年8月にダンボールプールのビデオを公開したとき、私は新しい可能性に気づかされた。

ビデオはそれほど大きなヒットとはならなかったが、少しずつ広がり、好意的な評価がつき、予想を超える反響があった。その反響の多さと購読者数の増加に私は驚いた。水をいっぱいまで満たそうとして、プールが破裂し水が噴き出したことを踏まえた上で、多くの子どもたちの親や教師たちが、私のアイデアを気に入ってくれて、ダンボールをあんなふうに使うなんて発想はなかったと感想を寄せてくれた。理科の教師は、教室で私のビデオを使ってくれたそうだ。父親たちは、子どもと試してみたという心温まる話を寄せてくれた。好意的な意見が、よく見られる否定的な意見を見えなくしてくれた。悪口を言う人に対して、多くのビューワーたちが私を守ってくれた。

このプールのビデオの反響から、私は、誰でもやっているような子ども向けの簡単な工作ではなく、もっとイノベーティブな方向で大人も納得するようなものを作るべきだと考えるようになった。これが転換点となった。今、私のチャンネルは、大人向けに複雑な工作を紹介するようになり、「クリエイティブな狂気へようこそ!」といったスローガンも生まれた。パズルやオモチャは姿を消し、ダンボールの家具や大きなディスプレイや運動器具の作り方を紹介している。そうすると、デザインやコマーシャルの契約が舞い込むといった予想外の結果となった。いかれたことをやると、その元が取れる場合もあるのだ。これで我が家はテレビとペットロックと3Dプリンターを買った。

しかし、このビデオを作っていちばん励みになったのは、絶えることなくコメントが寄せられて、次のダンボールプールを期待する意見をいただくようになったことだ。購読者たちは、新しいダンボールプールに期待している。そこで私は、5年経った今、時間と材料を見つけて、よりよいデザインのプールを作ることにした。ダンボールプール再生の時が到来したのだ!

私は、前よりも小さくて壁の厚いプールを、ゴムの皮膜を作るコーティング剤 Liquid Rubberと接着剤 PL Premiumを使って2週間で作った。

前のプールから学んだことは、成功の鍵は壁の厚さと、効果的に防水するコーティング剤にあるということだった。2011年に使ったロックコーティングは防水なのだが、プールの中を歩いたり水圧がかかって壁が膨張したり動いたときに、ひびが入ってしまった。それが、水を4分の1のときはあまり問題にならなかった。しかし、2分の1まで入れたときに、そこから壁が破れてしまった。よかった点としては、うちと、隣2軒分の芝生に水やりができたことぐらいだ。

今回は、プールを少し小さくして(182x244センチ)にして、厚い6xのダンボールを使った(2011年に使ったものの2倍だ)。コーティング剤には、Googleで検索して曲げに強いLiquid Rubberを選択した。Liquid Rubberは乾くと滑らかになり、ダンボールが変形してもいっしょに伸びる性質がある。プールの外側には、念のため油性のニスを塗った。

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このプールには水を循環させるためのポンプも取り付けた。また、ホースを使って水を抜くときのために、金属製の蛇口も取り付けた。

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2011年に作ったときは、水圧のことをあまり考慮せずに水を入れてしまった。それは私自身の大失敗だ。この新しいプールでは、壁が90センチあるので、いっぱいにまで水を入れる必要がない。まだ泳ぎ方を習っている最中の4歳の娘には、このほうが安全だ。

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このプールが用済みになれば、切り刻んでリサイクルに出せばいい。無駄がない!

それでもよくこう聞かれる。「何が言いたいのだ?」と。または「何回か使ったらゴミになってしまうものに、なんでそんなにお金と労力をかけるのか?」とね。どちらももっともな疑問だ。私はこれらに対して、2011年からずっと同じ答を返している。

ダンボールプールは、工夫とアップサイクルと実験を教えるためのものなのだ。私はダンボールの汎用性をみんなに教えたい。無理だとか不可能だと考えられていることを実際にやってみて、そうではないことを実証する。水を溜めておけることがわかった今、ダンボールの可能性はさらに広がった。ダンボールはタダでどこでも手に入る。これを使ってびっくりするようなものを作らない理由がない。

今、普通に使われている発明品でも、その当時は馬鹿げているとか、大間違いだと思われていたものが少なくない。オモチャのスリンキー、テレビ、ポストイットなどもその代表だ。

このダンボールプールに納得できない人もいるだろう。馬鹿げたアイデアだとまだ思っている人もいるだろう。しかし、この存在がみなさんの馬鹿げた発明品へのちょっとした刺激になれば、そしてそれが実現すればと願う。私の家族がプールで遊んでいる間、みなさんが次なる偉大な発明をされんことを祈って。

発明を楽しもう。そしてどんな方法でもいいから、涼しく過ごしましょう。

原文