Science

2016.09.13

バイオハッカーの冒険

Text by Biohacking SafariTranslated by kanai

あるオープン研究プロジェクトが、オープン科学コミュニティの世界で、バイオハッキングによるパラダイムシフトの実験を行っている。

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この2年間、@QuitterieL(Quitterie Largeteau)と@Dailylaurel(Aurelien Dailly)は、世界のオープン科学コミュニティを探索してきた。ヨーロッパをはじめとし、アメリカから中国、韓国、コロンビア、メキシコのエコシステムを調査した後、2人はbiohackingsafari.comを立ち上げた。この非営利団体は、2014年、当時のバイオハッカーたちのたまり場であったコミュニティーラボ、La Paillasseに設立された。

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Quitterieは免疫学の博士号を持っており、パリのPalais de la Découverte(科学の殿堂)でアート・オブ・サイエンスを教えている。彼女は、「オープンサイエンス」について講義をし、世界中でカンファレンスやワークショップを開催している。彼女のバイオハッカーに関するインタビューがSoundcloudで聞ける。

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Laurelは活動家でフォトジャーナリストだ。彼は世界中を旅してインスピレーションを集め、ワークショップや医学研修にそれを活かしている学際的な人間だ。彼は、バイオハッキングに関して、www.serendibscoop.comで見たもの、そして彼のflickrで公開しているものについて詳しく説明を書いている。

ハッキングとは何か?

バイオハッキングとは何かを知らない人のために説明しておこう。その前に、ハッカーとは何かを説明しなければならない。私たちは、ハッカーには悪い印象がつきまとっていることを知っているが、クラッキングとハッキングを混同しないでほしい。

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ハッカーとは、システムがどのように成り立っているかを知りたがり、趣味として、また人の役に立てようとして修理したり改造したり改善したりする人のことだ。ハッカーは、自分が学んだことを仲間のハッカーに教えたがる人だ。インターネットを使って、GithubやWikiを使って、またはハッカースペース(サンフランシスコのNoisebridgeやベルリンのC-baseなど)、メイカースペース(カナダ、ビクトリア州のVictoria makerspace)といった物理的な場所で教え合う。

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そのほかに、デュオクラシー(do-ocraty)や教え合いが行われる場所として、ファブラボ(オランダのWaagやパリのLoremなど)や、分散型の第三の場所として図書館(San Diego bio-lab)があり、コワーキングの場(スイスのHackuarium)、さらに、学際的にオープンサイエンスのプロジェクトと関わりの深い教育機関として、MIT Medialab(JODS)や、パリのCenter for research and interdisciplinarity(OpenLab)IAAC(バルセロナのValldauraLabs)などがある。

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そして、バイオハッカーとは、ハッカーとまったく同じ考え方を持つが、使う道具がピペットであったり、培養器であったり、チューブやシャーレであったりと、多少違っている。医療研究室や豊かなバイオ技術企業などで見られる装置も含まれる。

また、DIY顕微鏡やPDRマシン(DNAをいじるために必要な機械)などを自作する人たちもいる。すべては、バイオハッカースペースで知識や技術を教え合う驚くべき学際的な人々によって可能になっている。

バイオハッカーは、自分たちが口にする食べ物、飲料水、空気について知り、分析したいと考えている。バイオハッカーは、すでに生物を使わないチーズの開発に成功している。また、遺伝子の変更によってインスリンを作り出す方法の開発も夢見て励んでいる。自分のゲノムから情報を引き出したり、腸内細菌についても興味深く研究している。

バイオハッカーは、普通のハッカーと同じく、研究結果を他のコミュニティにも教える傾向がある。もちろん、できるかぎりウェブでネットワークされ、イベントやワークショップなども開いて知識や経験を広める活動をしている。事実、この9月には、カリフォルニアのバイオハッカーたちによるカンファレンスが、カリフォルニア州オークランドのオムニ・コモンズにあるカウンターカルチャーラボで開かれる。

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2つの主要なネットワークがこのムーブメントの推進役となり、初期のときから人々を導いている。

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DIYBIO.org → メーリングリストを使って、アイデアとアイデアを結びつけるという重要な役割を果たす組織。彼らが安全基準を作り、新規に立ち上がった新しいバイオハッカースペースなどに配布している。バイオハッカーの倫理基準を最初に作ったのも彼らだ。
Hackteria → 科学者、ハッカー、アーティストによる共同的組織。それぞれの専門分野を活かして、「workshopology」で知識を交換し、生命科学技術に関する批評や理論を書いている。

Biohacking Safariとは?

国際的な連結役である私たちBiohacking Safariは、人と人、アイデアとコミュニティとを、ワークショップ、ディスカッション、記事を通じて結びつけ、バイオハッカースペースハッカースペース、Maker Faire、非営利団体、博物館、MIT Medialab(US)、精華大学(中国)、Oxford(イギリス)といった教育機関、Fab財団といったさまざまなエコシステムと交流を深めている。私たちは、知識の検索をより簡単にする新しい分散システムを共同で開発している。

私たちの冒険は、新しい発見と新しい大陸へと導いてくれるが、私たちは、このムーブメントに密着して、その成長を間近に見ている。そうして発見された新しいコミュニティや生物学に関する新しいコンセプトを、より多くの人に知らしめるという役割を、非力ながら私たちが担うことになるだろう。今のところは、バイオハッキングの周辺にときどき見られる「うそ」を排除しながら、私たちの手の届く範囲の話を伝えていくことになる。

パラダイムの変革には恐怖心がともなうものだが、最悪なのは、政治やバイオ技術企業が私たちの代わりに物事を決めていってしまうことだ。バイオハッキングは、私たちが望む未来を作るために、今私たちにできることだ。

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DIYBIOの物語は、バイオハッキング社会のいくつかの驚くべきコミュニティの活動を紹介し、潜在的なイノベーションや架空のプロトタイプから生まれた疑問を呈するためのものだ。たとえば、Patrick D’haeseleerがBiocuriousで手に持っているものがわかるだろうか。それは次回のお楽しみ。

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記事の評価をありがとう、Adia

原文