Electronics

2016.12.16

テオ・ヤンセンのストランドビーストを作るときの6つの問題

Text by Jeremy S CookTranslated by kanai

テオ・ヤンセンのストランドビースト、または「ウィンドウォーカー」のビデオを観て、自分でも作りたいと思った人は多いだろう。数年前、私もそう思い、4回、ビーストを作り直したのだが、それでやっと安定的に歩くものが作れた(そのときのことは、「Make:」英語版 Volume54の記事になっている)。今年のMaker Faire Orlandoでは、ほぼ丸2日間会場を歩かせることができ、多くの人の注目を集めることができたので、大成功と言えるだろう。

とは言え、これには思いついてから、ガレージの中で実際に機能するものを作り上げるまで数年を要している。ヤンセンは、彼のマシンの複製を作る上で必要なリンケージの長さを公開しているが、それはほんの入口にすぎないことを私は知った。これを作るに当たって、私は多くのことを学んだ。そこで、同じものを作る長い旅に出ようというみなさんのために、いくつか助言をしておきたい。

これは大仕事だ

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まず、こいつは週末にちょこっと作れるような代物ではない。最初に私は4本足のビーストに挑戦した。そして、それはあまりにも不安定であることを知った。しかし、天井から吊して動力で動かせば、面白い飾りにはなる。それでも、そこまでいくのに、やったりやらなかったりしながら1年間ほどかかっている。次は8本足で、ゴルフカートほどの大きさのものを作った。しかし、組み立てても歩かなかった。これは私には高度すぎたようだ。

次の2つのイテレーションでは(ひとつめはこれ)、ずっと小さくて軽いものを作った。これは歩いた。「プロトタイプ」のほうが完成品よりもずっと大きかったというわけだ。

精度と“遊び”

ヤンセンのマシンは、多くが塩ビパイプで作られている。同じものを作ろうとすれば、それぞれのパーツをしっかりと固定する必要がある。それがもっとも問題になるのが、足の部分だ。繋ぎ手がゆるすぎると、足が地面につくたびに何度か狂ってしまう。中央のカムシャフト機構も問題が多い場所だ。正確に整列させないと、固まってしまう。

足の問題と戦うには、大きな“遊び”ができないように、幅を十分に広くしてやる必要がある。または、比較的きつくつなげることだ。どちらの方法にも、残念ながらぞれぞれ重量が増したり、摩擦を高めるといった欠点がある。私が見た解決策のひとつに、ジョイント部の内側にスペーサーを入れるというものがあった。これなら重量を増やさずに済む。これが有効のようだ。

摩擦が大敵

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たとえば、2つのモーターを直接、2つの車輪につなげるようなロボットのデザインとは違い、ヤンセンのメカニズムでは、動力の伝達時に多くの場所で摩擦が生じ、それが積み重ねられる。計算方法によって違ってくるが、それぞれの足には7つの関節があり、それぞれで軸と穴が擦れ合うことになる。これに古典的なカムシャフトが加わって、摩擦はさらに大きくなり、動力が大幅に低減されてしまう。

私のデザインのひとつには、カーボンを乾燥潤滑剤に使ってみたが、4つ目の成功したビーストでは、多くの関節にスラスト軸受けを使っている。ひとつ2〜3ドルだが、数が多いので高額になる。しかし摩擦を低減させるものは、どんなに精密に組み立てたとしても、どうしても必要になる。テフロンのワッシャーで代用できる部分もある。

大きなトルクが必要

ヤンセンのオリジナルのビーストは、塩ビパイプのカムシャフトを使っている。足のセットを2つ、3つ、さらに多く加えていくと、相当なトルクが必要になることがわかるだろう。私はこのデザインを3つめのビーストに用いたが、4つめではちょっと違う構造にした。カムシャフトの代わりに、歯車付きのセンターシャフトを使うことにしたのだ。Joachim Punktが製作した上の動画で見られるようなスタイルだ。

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私の場合、これがよく歩いてくれたが、まだギヤの微調整が必要だ。“遊び”を十分にとらなかったので、上手く回らなかった。面白いことに、メカニズムのデザインでは、ゆるく作ったほうが上手くいく場合と、それではダメな場合とがある。

コンピューター制御ツールを使う

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私の最初のビーストでは、すべての部品を手で切り出していた。それでも使えたが、作れるものが限られる。それに時間もかかる。その後の3つはコンピューターを使った。そのほうが正確だし、デザインの進歩に従って、いろいろ自由に切り出せる。正確に切削できるなら手でやってもいいが、やっぱり相当な時間がかかる。

組み立てにも時間がかかるので、省ける時間はなるべく省いたほうがいい。状況によっても異なるが、他人の力を借りることを恐れてはいけない。コンピューターの助けもね。

適切なモーターを選ぶ

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大きなモーターは重いし値段も高くなる。私が最初に使ったモーターは、上の写真のものだ。これは小さすぎた。歩かせるには弱すぎるが、何度か作り直した後、本体を吊して足を動かすには十分な力があることがわかった。Beest 1と2では、自動車のワイパーのモーターも試してみた。しかし、回転をコントロールしようとすると、かなりのトルクを犠牲にすることがわかった。モーター式で大型にするなら、モーターに数百ドル支払う覚悟をするべきだ。

上の動画はBeestの3つめのイテレーションだ。とても小さなモーターを使っている。それをクアッドコプターのコントローラーで制御している。4つめには、大きなBeest 1に搭載したものと同じタイプのモーターを使っている。この組み合わせで、とてもよく歩くようになった。

私にはまだ、ゴルフカート大のマシンを作ろうとは思っていない。予算も時間も材料もない(モーター、軸受け、構造材、それに格納場所)。だが、ヤンセンを筆頭に、大きなマシンを成功させている人たちもいる。しかし、そんな大きなものを作る気力がないという人は、キットを購入するという手もある。

原文