Fabrication

2016.12.05

3DプリントできるアイテムをVRで作るOculus Medium

Text by kanai

私たちが「Make」誌でバーチャルリアリティーに関する記事を書いていたころ、それがMakerにどう関係してくるのか、という疑問を持っていた。自作のヘッドセット、プロトタイプ、カスタムコントロールシステムといったプロジェクトを紹介してきたが、ほかのVR以外のプロジェクトと違って、それを何に利用するのかという話はなかなかできなかった。その理由のひとつには、まだ普及していなかったことが考えられる。しかし状況は変わった。3Dプリントを含むデジタルメディアでの利用にフォーカスした新しいプログラムが現れている。

私はOculus Mediumというプログラムを試させてもらえる機会に恵まれた。魔法の粘土道具を使って彫刻をするような感じのものだ。見てわかるとおり、私もここで簡単な有機的な形状を作って、それをすぐに3Dプリントできた。完全に使える!

「実用的ではない」と思う人もいるかもしれない。いろいろな意味で、そのとおりだ。これはCADソフトではない。今のままでは、エレクトロニクスのエンクロージャーのような精密なモデルは作れない。もっと自由な形状で、手で捻り出したようなものを作りたいときに生きてくる。そういうものだからだ。

新しい素材やメディアを試すとき、私はたいていタコを作る。タコが好きということもあるが、いろいろな角度や形状を伴う複雑な形状だからだ。これをバーチャルで作る場合、もっとも威力を発揮するのは足の部分だ。足を1本ずつ作って配置していくのは、どのモデリングプログラムでも退屈な作業だ。複雑ながら繰り返しが多いことも理由のひとつだが、すべての方向に伸びているため、通常のソフトウェアでは難しいことがあるのだ。それがVRなら楽々だ。

Oculus Mediumばかりではない。VRを利用した3Dモデリングのためのいくつかのシステムが近く発売されると聞こえてきている。しかし、まだ自分の目では確かめていない。KodonはYouTubeで登場したが、これからどうなるのか早く知りたい。

VRによるモデリングの未来はまだ明確ではない。VRにも、他のテクノロジーと同じく長所もあれば短所もあるからだ。しかし、より多くの人が使うようになれば、今は見えていない新しい可能性が開けることだろう。

正直言って私は、VRがCADモデリングに勝てるとは思えない。だからと言って、CADに匹敵するものを誰かが作らないとは限らないのだ。

原文