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2016.12.02

起業家と工場とをつなぐプラットフォーム「Maker’s Row」に聞く小規模製造を成功させるこつ

Text by DC DenisonTranslated by kanai

Matthew BurnettとTanya Menendezは、Maker’s Rowの共同創設者だ。これは、起業家とアメリカの工場とをつなぐインターネット上のプラットフォーム。MatthewはMarc Jacobsなどの一流ブランドで腕時計のデザインをしていた。Tanyaはゴールドマン・サックスのアナリストをしていた。2人はいっしょに革製品の会社を立ち上げ、適切な製造業者を探し出すのに苦労した経験を持つ。そしてMaker’s Rowを設立したのだ。アパレルとアクセサリーに焦点を絞って2013年からサービスを開始した。このサイトでは最近、家具と室内装飾のコーナーもできた。

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Q:プロのMakerがファッション業界から学ぶことはありますか?

Tanya:アパレルは、大量生産市場からコミュニティ推進型の市場へと移行しています。個人のファッションデザイナーたちが、独自の流通チャンネルを持ち、より牽引力を強めています。ハードウェアにも同様の機会があるものと思っています。

Matthew:私はそれらは完全に重なると思っています。アパレル業界は今、ポピュラー文化に起こっているものに対応しようとしてい
ます。ハードウェアも同じです。DreのBeatsヘッドホンがいい例です。いろいろなコミュニティが、それぞれのコミュニティの要求に応えて製品を作るようになっています。

Q:工場のエキスパートとして、製品を製造したいと考えているMakerにアドバイスはありますか?

Matthew:製品は自分から売れることがないと知っておくことです。自分の製品に夢中になるあまり、その他の重要な部分を見落としてはいけません。製品をどのように市場に送り込むのか。直接、コンシューマーに売るのか、小売店に卸すのかなどです。

Tanya:製品をテストすることです。もっとも厳しい意見をくれる人に製品を渡しましょう。仲良しの友だちだけではいけません。販売前にアイデアをシェアすることを恐れないこと。コピーされることを恐れすぎず、オープンに行くことです。

Matthew:急がないこと。製品が準備できないうちに市場に出さないこと。到着したした途端に壊れてしまいます。

Q:製造に関して、Makerがいちばん知っておくべきことは?

Matthew:いちばん安いところを選びやすいのですが、多くの人がその最初の坂でつまづいてしまいます。いちばん安く作ってくれる工場がいい工場ではありません。製品を市場に送り込むとき、自分なら、自分のブランドを代表してくれるところに依頼します。私は耐久性を重んじます。それが品質だからです。それが「メイド・イン・アメリカ」の歴史的な価値だったはずです。質の高い製品を適正な価格で作ってくれる工場を選びましょう。だからといって、いちばん高い工場がいいとも限りません。製造業者とよく話し合うことが大切です。製造指示書を送りつけるだけではだめです。

Q:アメリカでの製造にこだわっているようですが(下記参照)、中国で製造したほうがよい製品もあるのでは?

Matthew:そのとおりです。中国で製造できて、アメリカではこれからもずっと製造できない製品というものがあります。私たちはグローバルな経済の中にいます。私は中国の工場にも大いに敬意を払っています。私たちが注目すべきは、アメリカの工場の長所です。アパレル業界では多くの工場を見てきました。大きなブランドが大量生産する場合は、中国の工場を利用していました。しかし経済は水物です。一部の製品はアメリカの工場に戻ってきました。私たちが注目しているのは、私たちの長所を活かしてくれる工場であり、今のアメリカの製造業は、小規模から中規模の企業に適していると思います。

Q:工場は、大きくて、動きもゆっくりな組織のように思われます。彼らもMakerムーブメントに目覚めていますか?

Tanya:はい、この2年間で大きなカルチャーシフトがありました。工場も、今ではアイデアを持ち、それをビジネスにしたいと考えているスタートアップブランドや小規模ブランドを相手にするようになりました。Maker’s Rowで成功している工場の多くは、スタートアップビジネスに適応しています。それには、特定の工場がどのように機能し、業界の仕組みをよく教育することが大切です。だから私たちは、より多くの「つながり」を作ろうとしているのです。ビジネススキルや製造スキルのないMakerを多く見てきました。そこで、時間をかけて情報を集めて、人々に話し、それを可能にしてきました。大きな工場は、Instagramを使ってMaker’s Rowに掲載されたプロファイルを宣伝しています。彼らはがんばっています。彼らも、Makerムーブメントが今起きていて、これから文化の一部になると考えています。

Q:75%から85%の起業家が、初めて製品を出すときに失敗するとよく聞きますが、それを克服するためのアドバイスはありますか?

Matthew:製造の複雑さと技術を知れば知るほど、うまくいくようになります。製造の長所と短所をよく勉強することです。

Tanya:プロトタイプを作る前に、適切な製造業者を見つけておくことです。どんな製品を作る場合でも、作りたい製品があり、それを作ってくれる適切な工場を見つけ出すのは大変なことでした。でもそれは逆なのです。私たちはそのサイクルを反対にしようと考えました。何を作る場合でも、まず製造業者を探すことです。

Matthew:「どの工場を使ったらよいか?」とよく聞かれます。市場を見てください。Maker’s Rowへ来てください。レビューを見てください。工場はスペシャリストです。なんでも屋でもあります。でも、自分の製品の製造に特化した工場を探したいのですが、革を扱っているから最高のハンドバッグ工場だとは限りません。自分の製品のカテゴリーに適した工場を探すことです。そこをどう見分けるか? 過去にそこで作られた製品の品質を見てください。彼らのカタログを見てください。実際のサンプルを請求してください。いっしょにやっていけるようになるまで時間がかかります。いっしょにミスを発見することもできます。あなたのことを大切に思ってくれる、いっしょに世界クラスのブランドを開発できる工場を探しましょう。

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Q:新人Makerが初めて工場で製造するときに置かしやすい意外な過ちとは何ですか?

Tanya: 非常にたくさんあります。いちばん難しいのはイテレーションです。最初から完成品ができると思っている人もいますが、それは間違いです。改良する段階があります。それに予算。予算が重要です。

Q:Maker’s Rowはブルックリンでスタートしましたね。多くのアパレル系やアクセサリー系の工場が今でもニューヨーク市内にありますが、そのほかにMakerのハブとなり得る街はありますか?

Tanya:たくさんあります。私たちのパートナーは、ニューアークとニュージャージーにもありますが、それらは大きな製造ハブです。ボストンのMITメディアラボでのブートキャンプも成功しました。フィラデルフィアのペンシルバニア大学とも提携しています。強力な製造の歴史と大学を持つ街に私たちは注目しています。そうすることで、2つの世代をひとつにできるのです。私たちは学生と活動し、次に起業家の世代、そして彼らを地元の工場と引き合わせるのです。

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Q:Matthew、あなたは2014年に開かれたWhite House Maker Faireの最初の招待者でしたね。そのインパクトはありましたか?

Matthew:Maker’s Rowはアメリカで作ることに根ざしています。ホワイトハウスに認められたこと、彼らのスモールビジネスへの支援は大きかったです。それに値札は付けられません。それはケーキの飾りではなく、ケーキ本体だったのです。


MatthewとTanyaによる製造の6つのステップ(あらゆる製品に対応)

デザイナーの作品を製品として巣立たせるために、そのプロセスをTanyaとMatthewは次の6つのステップに分けて教えてくれた。

1. 考案:スケッチ、参照用の図、その他の製品のアイデアの資料となるものを工場に見せる。
2. パターン製造/テンプレーティング:考案からアイデアが固まったら、実物を作る。テンプレーティングは、実物の原型を作る作業だ。紙で作ったりすることもある。
3. 素材:素材を扱える工場は、ファブリック、ラベル、ハードウェアなどの製品に適した素材集めにも協力してくれる。
4. サンプル製造/プロトタイピング:最初の機能する実物を作る段階。ここで完全なものに仕上げないといけない。ここで作られたものが、あらゆる部門での手本になる。これが、工場とあなたとの契約書だと考えるといい。
5. ツーリング:ツーリングとは、製品をできるだけ円滑に製造するために製造機械を調整することを言う。通常の機械工作では、治具、ダイス、ゲージ、型、切削機械、鋳型などがある。
6. 製造:最後に実際の製造が始まる。


アメリカで製造する理由トップ4

Maker’s Rowは、アメリカ製品の擁護者として知られている。私たちは、MatthewとTanyaに、アメリカのMakerがアメリカで製品を製造すべき理由のうちのトップ4を聞いてみた。

1. 距離が近い:製造業者とコラボするには、近所にいることがベストだとMatthewは言う。「中国で製造する会社と仕事をしたときは、製造の監視のために何チームも人を送り込んでいました。小さな企業にはそんな予算はありません。なので製造業者は近いほどよいのです」
2. 言葉の壁がない
3. 時差が少ない
4. サイズの問題:「中国では、初期投資は安くても、大量に発注数しなければなりません。小規模な企業では、最大発注数が工場の最低受注数を下回ることがあります。そうした工場では、あなたとの取り引きに割く時間がありません。クライアントが山ほどいるからです。自分のビジネス規模に適した工場を選ぶのが一番です」

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