Fabrication

2017.01.18

VRで歩ける3Dモデルからレーザーカットした究極のダンジョンゲームボード

Text by Jeremy S CookTranslated by kanai

子どものころ、Dace Campbellが大好きだったゲームは『Dungeon!』だった。これは、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の作者が作り、兄たちがハマっていたそのゲームの簡易版だ。ご想像のとおり、神話に登場するキャラクターを選択し、ゲームボードの中のふらふら歩いてモンスターを倒し、宝を集めるというものだ。

彼はそのゲームの楽しさを子どもたちにも伝えようと考えた。そして、アップデートされたゲームを購入した。ところが残念なことに、彼によると新しいゲームのデザインは「かわいく」なってしまっていて、ボードが小さくなり、カードがボード上のダンジョンの中に収まらなくなっていたという。その代わりに、ボード脇のスロットでカードを見なければならない。普通ならそこで、昔のバージョンのゲームをネットで探すところだろうが、Campbellは、オリジナルも驚くようなものに作り変えてしまった。
美しい木製の3D Dungeon!ゲームボードだ。

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まずはゲームボードを写真に撮った。Campbellは大判のフラットベッドスキャナーを始め、あらゆるデジタル製造ツールを使える立場にある。画像はSketchUpに読み込んで、押し出して三次元化し、細かい処理を加えて適切なフォーマットに整えたすると、その3Dダンジョンは、VRヘッドセットを着けると、その中を歩けるようになった!

ダンジョンの色は変換によって失われたが、シンプルなグレーのポリゴンでも、Campbellはとても満足した。彼はこう話している。

VRで、建築デザインを実物大でリアルタイムで味わえる気分は、他に例えようがありません。VRは、デザインを調べたり、評価したり、デザインとコミュニケーションがとれる素晴らしいツールです。この場合は、モデルの性能を実際に歩きながら確かめて品質管理するための、理想的なツールであることがわかりました。デザインの評価というより(そもそもオリジナルのボードから作っているので仕方のないことです)、全体が正しくできているか、ドアや階段などが抜けていないかなどを確かめるために有効でした。さらに、子どもたちにとっては、すでにプレイして知っている2Dのボードの世界に入れるということで、大きな意味があったようです。

数回作り直してから、いよいよ切り出しだ。Autodeskの従業員であるCampbellは、 サンフランシスコの施設、Pier 9を利用できる。そこに滞在している間(彼はワシントン州シアトルに住んでいる)、彼はレーザーカッターを使ってマスターピースを作った。モデルは9つの小さなモデルに分割され、12時間かけて1/4インチ(約6ミリ)厚の合板から切り出し、仕上げ作業を行うために、それを(18キロ以上の合板から切り出した500ピース)家に送った。

ピースを受け取ると、今度はそれらをボードに接着する作業だ。下の写真からもわかるように、チューブの接着剤でなく、1ガロン入りのコンテナに入った接着剤を使っている。これには数日間かかった。9つに分割した木製ピースは、組み合わせることで6層のダンジョンが作れる。

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この時点では、VRモデルと同じように色がない(レーザーによる焼け焦げを別として)。そこで、水性塗料を使って層ごとに色を塗ることにした。写真で見るかぎりはうまく塗れているようだが、Campbellは満足していない。塗料が裏に染みてしまったのだ。

そこで、ダンジョンの上部をサイドの焼け焦げと揃えるようにステインで着色し、それを床のピースに接着するようにした。数カ月の作業の末、ついにCampbellと子どもたちは、ダンジョン内にカードが配置できるゲームボードを手にすることができた。これで「ゲームが格段に面白くなる」と彼は思った。

このボードの計画を思いついたのは1年前だ。スケッチを開始したのが7月。完成するまでにかかった時間は100時間と彼は見積もっている。しかし150時間以上かかっているかもしれない。これは「愛の労働」であるため、彼は正確に時間を計っていないのだ。

Campbellは、この手法を他のゲームボードにも利用できると考えた。同じような物を作った人のことも知りたがっている。彼とはこのTwitterアカウントで連絡が取れる。将来、彼の新作を見ることができるだろう。また、デザインのコツをシェアしてくれるかもしれない。その一方で彼は、『Dungeon!』の作者たちが、もし望むなら、オープンに共同製作をしたいとも考えている。このプロジェクトを気に入った人は彼以外にも大勢いるはずだ。しかし、ここまで真剣に取り組んだ人間は彼一人かもしれない。

Dace Campbellという名前に聞き覚えのある人もいるだろう。彼は以前にも「Make:」で紹介されている。2015年のこのプロジェクト、Gonk充電器ドロイドだ。また、ジンジャーブレッドによるスターデストロイヤーも彼の作品だ。

原文