Electronics

2017.02.28

自分に合ったロボットキットを探そう

Text by Andrew TerranovaTranslated by kanai

今や驚くほど多くのロボット・キットが販売されている。しかし、どれが自分に合っているのだろう? 最高のキットなどというものはない。大切なのは、自分の目的に合っているかどうかだ。それでも、選択肢は多く迷ってしまう。

なぜキットから始めるのか? それにはいつくかの利点があるからだ。一般的に、キットは同じ部品を個々に買い集めるより安い。メーカーは大量に部品を買い付けているので、安く販売できるのだ。すべて1つの箱に収まっているから、買う手間も省ける。1つの店ですべての部品が揃えることも難しい。結局、送料だけでも大変な額になってしまう。

また、1つの箱に入っているということは、一度にすべての部品が届くということだ。1つの部品だけが中国から遅い船に乗ってやって来る、なんていう状況では、いつまでも組み立てられずにイライラさせられる。

もう1つ、キットの利点は、デザインが完全であることだ。すぐに作ることができる。優良なキットには親切な説明書が付属しているし、サポートも受けられる。

ここでは、人気のキットをいくつか紹介しよう。どこで見分けるか、そのチェックポイントをお教えしたい。

入門者用キット

見るべき点:説明書とサポートが充実していること。価格が安いこと。拡張性があること。

ロボット作りが初めてという人は、入門者用のキットがいい。丁寧な説明書も付属しているし、メーカーからのサポートも受けられる。そこでくじけることが多いのだが、よいキットは簡単に作れるので、もっと学びたい、今後の趣味にしたいと思わせてくれる。評判のよいメーカーのキットを選ぼう。そのウェブサイトに自分の言語のマニュアルがダウンロードできるようになっているか、質問できるかをチェックしよう。大きなコミュニティを持つ業者もある。そこではメンバー同士が助け合っている。気に入ったキットに、ユーザーによるサポートフォーラムがあれば、鬼に金棒だ。

価格も重要だ。最初のロボット・キットにそんなに金は使いたくないだろう。この先、もっと複雑なロボットに手を出したくなるのは間違いないので、今は、そのときのためにも節約しておこう。

キットの中には、拡張を考慮したベースとなるものがある。それだけのものなのか、拡張できるのか、または部品が他のロボットに流用できるのかを確認しておくことが大切だ。そう、ロボットを作る人間は共食いをする。ロボットから別のロボットを作るのだ。そこはジャングルだ。

最後に考えるべき点はプログラミングだ。コーディングの経験があれば、自分が得意なプログラミングプラットフォームをベースにしたキットを選ぶとよいだろう。

mBot-Pink-mBot

よい例として、Makeblock の初心者向けロボットがある。お勧めはmBotキットだ。価格はおよそ100ドル。Makeblockのキットは高品質のアルミとレーザーカットしたアクリルの部品でできている。mCoreMe Orionコントローラーボードは、Arduino IDEと完全互換で、Scratch 2.0をベースにしたMakeblockのグラフィカルプログラミングシステム、mBlockも使える。これらのボードはRJ25コネクターを使っており(電話のプラグのようなやつ)、配線が簡単で初心者に向いている。Makeblockには拡張モジュールや部品があり、機能を追加することができる。

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もう1つ、注目すべきキットは、EZ-RobotのRevolutionシリーズだ(創設者の話がここで読める)。初心者にはAdventure Botをお勧めする。150ドルと安価だからだ。さらに高度なEZ-Robotキットは、JD HumanoidまたはRoli Roverで見てほしい。大変な人気だ。EZ-Robotのサイトには、活発なコミュニティフォーラムがあり、大変に助けになる。

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教育用ロボット・キット

見るべき点:カリキュラムの対応と頑丈であること

教育者としてロボットを選ぶなら、そのメーカーがカリキュラムに対応していることが理想的だ。教室から教室へ使い回されることを考えると、作りが頑丈であることも重要になる。グラフィカルなプログラミング環境もあれば、なお望ましい。

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Lego Mindstorms EV3キットは学校で大変に人気だ。先に挙げた条件をすべて満たしていること、とくにこれは中学校の生徒を対象にしていること、教師向けのサイトがあること、そして、コミュニティのウェブサイトもあることがその理由だ。最初のキットとして最適なEducation EV3 Core Setは、およそ380ドル。

Vex Roboticsも学校に人気のあるキットだ。VexのRobotCプログラミング言語は、将来C言語を学ぼうという子どもたちに最適なグラフィカル環境を備えている。頑丈な「Programming Control Starter Kit」は、およそ440ドル。

ちょっと変わったところでは、Modular RoboticsのCubeletsキットがある。12パックのCubeletsが330ドル。異なる機能を持つブロックを組み合わせることで、動いたり、音を出したり、光ったり、周囲の環境を感知するロボットが作れる。プログラムの必要がないフィジカルコンピューティングによるロボティクスの考え方だ。ブロックのデフォルトの動作からさらに発展させたいときは、グラフィカルなプログラミング言語、Blockyで変更ができる。大手企業のレゴと同様、Vex RoboticsもModular Roboticsも、教師向けのサポートがあり、無料の授業プランも用意されている。

ワークショップ向けキット

見るべき点:低価格、魅力的なデザインで、限られた時間内に簡単に組み立てられること。

ロボティクスのワークショップを開いたことのある人なら、説明書の質と、簡単な組み立て技術と、1コマの限られた時間内に完了することが最重要課題であるとわかっているだろう。さらに、プロジェクトは、楽しくて熱中できるものでなければならない。私たちは、1つのキットをみんなで使い回すのではなく、参加者が持ち帰れるよう安価なキットを好んで使っている。

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ElencoのLine Tracking Robot Kitは完璧な例だ。かわいくて、鮮やかな黄色の、線をトレースするロボットは、組み立ても簡単で、ハンダ付けは必要なく、1時間で確実に作れる。アマゾンで24ドル程度で販売されている。

もう少し高度なものとして、DFRobotのInsectbot Hexaキットがある。赤外線センサーで距離を測りながら自律的に歩行する虫型ロボットだ。Arduino互換のボードには、最初からスケッチが読み込まれているが、プログラムの変更は可能だ。1台38ドルと非常にお得だ。まとめ買いによる値引きもある。ワークショップの時間が短いときは、時間のかかりそうな部分をある程度作っておくという方法もあるが、1時間あれば組み立てが可能だ。

人型キット

見るべき点:メカニカル部品とサーボの品質。

人型ロボットのキットは何千ドルもするものがあるが、ここで紹介するのはずっと安価なものだ。メカニカル部品とサーボの品質には気をつけよう。2本足で歩くという行動は人間にとっては簡単なことだが、ロボットにそれをプログラムするとなる、とても複雑だ。

Pete-1

Lynxmotionは、さまざまな二足歩行ロボットのキットを作っている。このメーカーは、ロボットキットを開発プラットフォームと考えている。だから、完璧なコードやプログラム済みのアプリなどは用意されていない。ソフトウェア開発も自分で行うようになっている。Lynxmotionでは無料のサーボシーケンサーユーティリティを提供しており、SSC-32サーボコントローラーに対応している。自律行動をさせたい場合は、マイクロコントローラーを搭載することも可能だ。また、FlowBotics Studioという開発プラットフォームが40ドルで販売されている。

Lynxmotionのキットには、陽極酸化処理された黒いアルミニウム製サーボブラケットが含まれている。また、ハードウェア単独、ハードウェアとサーボ、ハードウェアとサーボとサーボコントローラーといった組み合わせで購入することも可能だ。

ローエンドのBiped BRATは、それぞれの足が3自由度(DOF)で、サーボ、電子回路、LynxmotionのBotBoarduinoマイクロコントローラーとプログラムの例がコンボキットとして240ドルで用意されている。Biped Scoutは、足が6自由度で、サーボと電子回路抜きで170ドルで販売されている。それぞれ個別に買えば500ドルになる。この2つのキットは、一組の足と胴体だけだが、Biped Peteキットは、腕、足、頭、手を持つ完全な人型で、トータルで22自由度となっている。Peteの価格はハードウェアだけで370ドル。サーボと電子回路とマイクロコントローラーが付属すると550ドル以上になる。

Robotisは、ハイエンドな二足歩行ロボットキットをいろいろ作っているが、とくに人気なのはDarwin-Mini bipedだ。価格はおよそ500ドル。Robotisでは、独自のDynamixelブランドの高品質ネットワークサーボを使用している。ホビー向けのサーボとしては大進歩だ。Robotis R+ Task、R+ Motionソフトウェア、またはスマートフォンのアプリで使える。

六足歩行、四足歩行キット

考えるべき点: どれだけの自由度が買えるか。

もう1つ人気のキットは、六足歩行ロボットだ。考えるべきは、足1本あたりの自由度の数と部品の品質だ。例となるソフトウェアや、歩行や操作がすでにプログラム済みのものがあれば、さらによい。

足1本あたり3自由度の六足歩行ロボットには、18個のサーボが使われている。そのため、ロボットの重量とメカニズムの部品にかかるストレスを考えると、サーボやそれをつなぐ継ぎ手の品質がそれなりに高くなければならないことがわかる。

Hexy-1

入門レベルでは、ArcBotics Hexyが250ドルで手ごろだ。アクリルの部品は軽量で、小さなサーボでも動かせる。Hexyに付属しているサーボは歯車がプラスティック製だが、金属製歯車のサーボも用意されており、Hexyのユーザーには価格の割り引きがある。

アルミニウムの部品に信頼性の高い金属や高品質なレジンの歯車のサーボを使ったハイエンドの機種になると、価格も高くなる。Lynxmotionには非常に多くの種類のキットが揃っている。AH2キットは12個のサーボを積んだロボットだ(足1本につき2自由度)。価格は410ドル。AH3キットは18サーボのロボットで、940ドルする。

サーボの数が少なければ、それだけ重量も価格も低くなる。経済的な歩行ロボットだ。そこで、LynxmotionのSQ3もお勧めだ。価格は550ドル。もっと安いキットもある。

Spierce Technologiesの新製品、mePed v2.0 Complete Kitというものもある。90ドル以下で買える。Spierceには1.0バージョンもあるが制約が多い。この新しいキットなら、組み立てに必要なすべてが揃っていて、最初のモデルよりも、デザイン的に洗練されている。

車輪走行キット

考えるべき点:2WDか4WDかそれ以上か? ディファレンシャルは付いているか、もっと革新的か?

車輪で走行するタイプのロボットでは、自動車のように前輪で舵を取るものは少ない。ナビゲーションが複雑になるからだ。キャスターのような車輪で、その場で向きを変えられるロボットもあるが、これもキットでは珍しいほうだ。その他の舵取り方法としては、六輪駆動や、さらに特殊な車輪(全方向車輪やMecanumなど)を使ったものもある。

車輪走行式ロボットのキットの多くは、二輪または四輪のディファレンシャルドライブ式だ。両側の車輪にそれぞれ動力があり、別々に速度をコントロールすることで方向を変える。ここではこのタイプを推薦する。

二輪走行(2WD)ロボットは、両輪の中間を軸としてその場で回転ができるので、とても操作しやすい。Pololu 3pi Robotはよい例だ。価格も100ドル以下と安い。3piは二層構造にできる。

もうひとつ、2WDの例として、DFRobot MiniQ 2WD Complete Kitがある。80ドルだ。MiniQには四輪駆動式(4WD)もあり、こちらは100ドルとなっている。

無限軌道キット

考えるべき点:プロジェクトのベースにしたいのか、完全に機能するロボットが欲しいのか?

戦車のような無限軌道式のロボットは、車輪走行ロボットと同じくディファレンシャル式で舵を取る。小型の無限軌道ロボットならキットが出ているが、大型のものはベースシャシーとして販売されていることが多く、それを元にロボットを自作する形になる。

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RobotShopは素晴らしいロボットタンクキットを90ドルで販売している。これには、Arduino互換ボードが内蔵され、LiPoバッテリー充電器が付属している。Arduinoのシールドを追加すれば機能を拡張できる。また、ハンダ付け用プロトタイピングエリアと、無線コミュニケーションのためのXBeeソケットが2つ用意されている。

DaguのRover 5 Tracked Chassisをベースにロボットを作っているメーカーもある。たとえば、SparkFunのキットだ。価格は60ドル。コントロール用のエレクトロニクスやセンサーは自分で追加するようになっている。

より高級な無限軌道式ロボットでは、220ドルほどのLynxmotion Tri-Track Chassisがある。上のRover 5と同様、エレクトロニクスやセンサーを追加してロボットを完成させる仕組みだ。

さあ作ろう!

ロボティクスの世界はとても広い。ここで紹介したカテゴリーの他にも、ロボットアーム、バランシングロボット、空飛ぶロボット、泳ぐロボットなどなどたくさんある。しかしこのリストは、もっとも人気のあるロボットを集めているので、これから始めようという人にはちょうどいい出発点になるはずだ。興味のあるカテゴリーを選んで、この記事を参考にして、好みのキットを購入してほしい。

ロボットのキットと部品のメーカー

この他のキットも見てみたいという方のために、主だったメーカーを紹介しておこう。まだまだたくさんあるのだが、これだけあればみなさんのプロジェクトを十分にカバーできると思う。

・Abilix
・Adafruit Industries
・AeroQuad
・AndyMark
・ArcBotics
・Arduino
・Artec Block
・BirdBrain Technologies
・BirdsEyeView
・Chibitronics
・Commonplace Robotics
・Cytron
・Dagu
・Dexter Industries
・Dongbu Robot
・DFRobot
・ElecFreaks
・Elenco
・EZ-Robot
・FingerTech
・Fischertechnik
・Gears EdS
・Hangfa Hydraulic Engineering
・Hexbug
・Hicat.livera
・Inspectorbots
・ITead Studio
・JCM inVentures
・Keenon Robot
・King Kong Robot
・Kondo Robot
・KumoTek
・Learning Resources
・Lego
・LinkSprite
・littleBits
・Lynxmotion
・Makeblock
・MeArm
・Microbric
・Microduino
・Mindsensors
・Modular Robotics
・Multiplo
・Nexus Robot
・OpenROV
・OWI
・Parallax
・Pittsco
・PlayMonster
・Pololu
・Quirkbot
・Revolution Education
・REV Robotics
・RoboBrothers
・RoboBuilder
・RoboCore
・Robopec
・RobotGeek
・Robotiq
・Robotis
・Robotnik
・RobotShop
・SainSmart
・Seeed Studio
・ServoCity
・SmartLab Toys
・Solarbotics
・SparkFun
・Spierce Technologies
・SunFounder
・SuperDroid Robots
・Tamiya
・Thames & Kosmos
・Tinkerbots
・Trossen Robotics
・UBTech
・Velleman
・Vex Robotics
・Wonder Workshop
・XYZ Robotics

原文