Electronics

2017.03.30

電池式コードレスハンダこて「goot MSD-20」レビュー

Text by Takumi Funada

3月に発売されたgootの電池式ハンダこて“MSD-20”は2,700円(税込)と気軽に導入できる価格帯。筆者は秋葉原にて2,000円で購入しました。気に入ったので、少しレビューしてみたいと思います。

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IoTデバイスを屋外でテストするとき、あるいは電子回路を含むインスタレーションをイベントスペースで設営するとき、ハンダづけで問題を解決する必要に迫られることがあるかもしれません。そんな事態に備えて、AC電源不要のハンダこてが欲しいと思ってました。ガス式のものは1本持っているのですが、普通の乾電池で動作するほうがより安心ですよね。

MSD-20は3本の単三乾電池またはNiMH電池で動作します。持った印象は、やはり少し重い。でも、電源ケーブルがないので取り回しはラクです。バランスが良い。上部のスライドスイッチをオンにした状態で、黒いプッシュボタンを押すと、押している間だけ、こて先が加熱されます。つまり、ハンダづけ中は黒ボタンを押し続ける仕組み。この点は慣れが必要でした。使っているうちに、お箸を持つ感覚に近いと思うようになったのですが、異論はあるかも。

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パッケージの内容物は、こて本体のほかにキャップとこて先交換用の簡易工具。キャップは安全装置を兼ねていて、装着するとスライドスイッチがオフ側に動いて電源を確実に切ってくれます。

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コロンとした形状でグリップに重量があるため、横にして置いてもこて先が床面に触れることがなく、こて台はなくても大丈夫だな、と思いました。もちろん、ちゃんとした台に置いたほうがより安全ですけれど、嵩張るこて台を持ち歩かずに済むのはありがたい。

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立てて置くこともできます。パッケージにペンギンの絵があるのは、このときの姿がペンギンみたいだから? こて先の下にある丸い突起はLED。

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加熱中は白色LEDが点灯し、手元を照らします。敢えて薄暗い場所で作業してみたところ、こての先端が見やすくなって、助かると感じました。

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MSD-20のページを見ると鉛フリーハンダとの使用を「おすすめ」しています。それならばと、gootのSD-52を使って、簡単なハンダづけをいくつかしてみました。撚り線のハンダめっきや、ユニバーサル基板にリード部品を実装するといった作業です。その結果は、ゆっくり作業すれば大丈夫、という印象。こて先の角度に注意して(必要ならば少し寝かせて)、対象をしっかり加熱するのがポイントですね。基本どおりにやれば良いということかも。それから、こて台はなくても平気そう、という話をしましたが、こて先クリーナーは必須。畳むとカードサイズになるST-30が荷物にならなくて便利です。

次のグラフはパッケージに記載されている「こて先温度変化グラフ」。約15秒で350度に到達し、アルカリ乾電池で約40分間、NiMH電池なら約60分間、350度以上が維持されるようです。立ち上がり時間は十分速いと感じました。持続時間はどうでしょうね? 通常はNiMH電池を入れておいて、出先へは予備の乾電池を3本持っていくという運用かな。

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普段はペンと一緒に立てておけるコンパクトさ、必要になったらキャップをはずしてボタンを押すだけでハンダづけができる機動性は、机上の常備ツールとしても良さそう。また、このハンダごての使用を前提に、屋外での工作ワークショップを考えてみるのも面白いかも。手にしていると、アイデアが広がってくる工具です。

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