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2017.03.17

いっしょに作ることは技術の共有ではなく人間性の共有

Text by Matt McEntee
Translated by kanai

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男性とその息子が、第2回World Maker Faireの私のブースに近づいてきた。「何をしているのですか?」と父親が聞いた。「メイク・フィックス・エニシング・プロジェクトです。なんでもタダで直します」と私は答えた。

「なんでも?」
「作ったり直したり、ほぼなんでもお手伝いできます。何を作りますか?」

息子の表情が明るくなった。彼の創造力の車輪が回り始めた。「ボードを……」と彼は言った。父親が微笑んだ。私は彼に鉛筆とノートを手渡すと、彼は絵を描き始めた。「ほら、これがボードで、横から2つのものでこれを固定できたら……」少年は続けた。想像力の中をさまよっているようだ。生き生きとして、人間的で、創造的だ。父親は私が出していた看板を見て言った。「自転車から壊れた心まで?」「そう」と私は答えた。

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「壊れた心はどうやって直すんだい?」私はうなづき、彼を見た。聞きたい気持ちはよくわかる。「お手伝いはします。でも最後には自分で直さないといけません」と私は答えた。

彼は何かを言いかけて、止めた。「見て! できたよ!」と少年が言った。私はその絵を見た。「よし、材料箱に何があるか見てみよう」と私は言った。少年は私に先立って歩く。そして、ワイヤーハンガーの切れ端を取りだした。「あ、これハンガーだ!」

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少年はすぐさまワイヤーを捻ってハンマーで叩いて、独り言を口にしながらハンガーの形に戻した。私と父親は、少年の興味の移り変わりの早さを見て、ちょっと微笑んだ。「シャツを掛ける場所がないので、ハンガーが必要なんです。引っ越したばかりでハンガーがなくて。以前は持っていたものを、すべて買い直さないとならないんですよ……」父親の目がどこか寂しげになった。私は何かを感じた。

ものを直したり作ったりすることは、単に直したり作ったりすることとは違うのだと、私は気づかされた。この親子がどのような境遇なのか、私には知るよしもないが、何かがあったようだ。父親は心を直したいと思っている。少年は引っ越しにまつわる問題を必死に解決しようとしている。離婚だろうか。母親が亡くなったのだろうか。ハンガーはどこへ消えてしまったのか。それはわからないが、少年が一生懸命なのはわかる。針金と格闘し、自分の世界に没頭している。

「できた!」と少年が作業を終えた。誇らしげに作品を掲げている。針金は短くなっていたので、出来上がったハンガーは小型版だ。大人の服を掛けるには小さいが、彼の服にはちょうどいい。「これでボクの服がかけられる」ペンチとハンマーと、そのままならゴミになっていた材料を使って、彼は自分で問題を解決した。

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この活動の意味は何かと聞かれたとき、私は長々と理論的な説明をするか、反対にごく簡単に「大切なことだから」とのみ答えるかどちらかだ。本当のところはシンプルで複雑だ。1つの問題から始まって、別の問題に取り組むという結果になる。行動することによって、自分自身をなんとかするのだ。

私たちは、何かをいっしょに作ったり直したりするとき、特別な技術や知識から始めるわけではない。本質的な人間性から始める。つまり、混乱する世界に直面して、私たちは創造的な生き物として実験を行い、自分自身を教育するのだ。Makerムーブメントを支えるすべての道具、技術、ガジェットの影には、この人間の基本的な能力がある。広く普及した共通のスーパーパワーだ。行動することによって、私たちは自分が素晴らしい人間であることを発見できる。

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原文