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2017.04.14

被災地でMakerの技を駆使する:Dara Dotzインタビュー

Text by DC Denison
Translated by kanai

Dara Dotzは、被災地やそれが必要とされる社会でMakerの技を使って支援する非営利団体、Field Readyの共同創設者だ。この新しい動きは「人道的メイキング」とも呼ばれている。DotzとField Readyは、ハリケーンに襲われたタヒチと、地震の被害を受けたネパールで活動してきた。また彼らは、紛争地帯での捜索、救難活動を支援している。彼女は、後にField Readyと名付けられるこの団体の立ち上げ準備をしている間、重力に依存しない3Dプリンターを開発し、国際宇宙ステーションに送り込んだチーム、Made in Spaceに属していた。


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Q. 危機に瀕した社会に“Maker Pro”の技を応用するための助言はありますか?

A. 飛行機に飛び乗らないこと。誰もが被災地で活動できるわけではないし、みんなが行くべきではありません。飛行機に乗るときには、よくよく考えるべきです。すぐにでも必要な医師や医療関係者の席を取ってしまっていいのか? 現地の混乱の中でしっかり役に立てるのか? Field Ready では、現地に派遣する人の面接方法を考えました。優秀なMakerであっても、被災地の活動に向いていない人もいます。しかし、非常に優れたエンジニア、Maker、デザイナーなどであれば、その力を借りることがあります。

Field Readyは、素晴らしいコミュニティと協力しています。それが、安全で機能的に人を結びつける方法になっています。現場にいなくても、電子メールを出したり、インターネットが使えればビデオ会議を行ったりして、地元のチームから知恵を送ることができます。たとえば、それを元にプロトタイプを作り、そのデータを現地に送り、プリントさせます。そしてリアルタイムの感想を返してもらいます。より簡単にウェブに接続できるようになれば、物事はもっとやりやすくなります。もうひとつ、メイキングを役立てる方法として、助けを必要としている現地で人を探すことがあります。

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Q. 人道的Makerになるために必要なことは、現地に飛ぶことではないのですね?

A. 自分だけでやろうとすると、大きな失敗を招くことになります。人と人をつなぐことが重要です。現地の状況に詳しい被災者たちと、手を取り合って進めてゆかなければなりません。他の人のパズルを一人で解こうとしても、なかなか答は出ません。

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Q. 何が問題なのかを Maker が知る方法とは?

A. まず人に聞くことです。一人で思い込まないこと。コミュニティが教えてくれます。人道的メイキングは個人プレイではありません。チームとして最適な解決方法を探すのです。現地の要望を特定して、現地の人たちの言葉を確かめ、それをデザインや解決策に採り入れながら、被災者たちと協力し合って活動します。手助けをするだけではありません。彼らは、あなたが作ったものを実際に使うのです。

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Q. 人道的メイキングの実例は?

A. 私たちは、インペリアル・カレッジ・ロンドンの学生たちと協力して、被災地で2つの径の異なる水道管を繋ぐ継ぎ手の3Dモデルを製作してプリントするための、簡単に使えるアプリを開発しました。CADをいじっている時間はありませんから。バーニングマンのグループ、Burner without Borders(国境なきバーナー)は、無から街を作ってしまう人たちですが、ハリケーン・カトリーナで被災した地域の清掃や復興に彼らの技術が活かされました。Tikkun Olam(ティックーン・オーラーム:世界の修復)のMakerは、支援技術を使いやすくするためのプロジェクトを行っています。彼らは、Makerと障害を持つ人たちとを結びつけ、共に解決策を作り出すためのメイカソンを運営しています。その準備には3カ月かかるので、その間に、障害者が必要とするデバイスがどんなものかを理解できます。

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Q. 持っておくべき技術はなんでしょう?

A. 現在、私たちがもっとも多く使っているのが3Dプリンターです。たとえば、ネパールを地震が襲ったとき、医療機器も壊れてしまいました。彼らは、時代遅れとは言わないまでも、旧型の機器を使っていたので、部品の調達が難しかったり、不可能だったりしました。病院の保育器は、重要な部品が届くまで6カ月かかると言われたので、私たちはそれを3Dプリンターで作りました。3Dプリンターは、1つだけ、または少ない数の物を作るのに向いています。サプライチェーンの問題も解決してくれることがあります。

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Q. あなたの災害用の Maker キットはどんなものですか?

A. 私のキットは大きなスーツケースと機内持込用のケースに収まっています。3Dスキャナーは、3Dプリントのための3Dモデリングの概念を説明するときに役立ちます。3Dプリンター、何種類かのフィラメント、フィラメントの追加購入ができないときのためにリサイクラーを持って行くこともあります。射出成形機もときどき。型取り用のエポキシ、ラジオペンチ、ワイヤーカッター、除光液、手袋、アルコール綿、バックアップ用のコンピューター、無停電電源装置、変圧器、計測器、カメラ、スケッチブック3冊、ペンをどっさりです。絵を描きながら話すことで、人々の問題点がよく理解できるようになります。私が絵を描いて「こういうこと?」と聞くと彼らは、「いや、もっとこんな感じ」と答を描いてくれます。

Q. まだ開発されていないもので、あれば便利だと思われるものは?

A. 3Dプリンターです! 動いてくれれば非常にパワフルなのですが、いろいろな意味で被災地には適していません。ONOに私の友人がいて、カバンやバックパックに収まる、携帯電話で使える新しい3Dプリンターを開発しました。99ドルです。まさに革命的です。すぐに使えます。こういう技術は、早く現場で試したくてたまりません。

Q. 将来、変革をもたらすものはなんだと思いますか?

A. 本当のパワーは私たちが持っているのではありません。それを他人に渡したときに発揮されます。私はいつも新しい技術を探し、それを世界でどのように役立てるかを考えています。私はよく、「ムーアの法則の残り物」と言います。ツールの価格が下がると、私はそれを入手して、テストして、被災地の人たちの役に立つかを確かめます。そして、それを彼らに渡します。メイキングに慣れていない人や、今すぐ何かが必要な人にも簡単にそれが使えるように、私たちは、被災地で必要とされるもののCADファイルのカタログを整備し、調整を行うための自動デザインツールを開発しようと考えています。インターネットがもっと繋がるようになれば、より多くの人が、もっと簡単に何かを教えたりアイデアを交換できるようになります。多様な人々が協力して複雑な問題に取り組み、製造の手段を普及させることで、支援のあり方が変わります。自分たちの問題の解決策を、自分たちで「作れる」ように支援するのです。そこが鍵です。これは道具だけの問題ではありません。考え方の問題です。

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Q. メイカースペースではレーザーカッターも大いに活躍していますが、被災地で役に立つでしょうか?

A. 新しいツールを導入するときは、人々が何を必要としているかをよく考えなければなりません。どんなに素晴らしいツールでも、被災地の現場で役に立たないこともあり、特定の開発に向かないこともあります。材料のサプライチェーンも考えておくべきです。「CNCマシンはとても優秀なので、これをハイチに持ち込んで家を建てよう」と考える人がいるかもしれませんが、ハイチでは木も流されてしまって、木材がありません。それでもCNCマシンを持ち込みますか? ハイチでは何百人もの人々が職を失っています。CNCマシンの価格よりも安いコストで、100人を3カ月雇うことができます。

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Q. 現場でもっともよく使うツールはなんですか?

A. 最良の解決策はツールによって作られるものとは限りません。私の場合、共感することが最大のツールです。

Q. 被災地での活動の他に、あなたは宇宙に製造手段を持ち込むというMade in Spaceの活動も行っていましたね。そこに共通点はありますか?

A. 1つ共通しているのは、サプライチェーンの問題です。宇宙に物を送り込むことは、どれほど高価で危険なことか、想像がつくかと思います。必要なものすべてを、巨大な爆発性のデバイスに載せて、何百万ドルもの費用をかけて、軌道の一点に打ち上げるのです。内容物がきちんと揃っていること、安全にドッキングされることを願います。被災地も同じです。人々は、危険で、物品が大変に高価で届くまでに時間がかかる場所にいます。道路は、物理的にも政治的にも比喩的にも、いたるところで寸断されています。軌道に打ち上げるときと同じく、ごく限られた輸送スペースの中で、必要なものがすべて揃っているかを確かめて送らなければなりません。1回しかチャンスがないことも多々あります。基本的に、とても困難で危険な状況です。被災地でも宇宙でも、材料を現地調達できるのがいちばんです。

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必要とされている人を必要とされる時に送り込むことが、Field Readyの活動だ。辺境の地で、地元の要望を受けて物を作る。たとえば、田舎の小さな診療所では、あらゆる事態に対応しなければならず、それを事前に予測することはできない。私は個人的に、極限状態でどのようにして回復力を付けたらよいかを考えてみた。人々が、その他の世界から切り離されてしまったとき、どうやって支援したらよいのか。彼らの力となり、想像を超える困難を切り拓くために必要なツールとは、なんなのか?

被災地のコミュニティーと繋がる3つの方法

Humanitarian Makers
TOM Global
Field Ready

原文