Electronics

2017.04.04

自由に描かれたプリント基板と電子回路の美

Text by Gareth Branwyn
Translated by kanai

数年前、私がDorkbot DCを共同運営していたとき、バルティモアからPeter Blasserが来て、サーキットベンディング(当時はかなり熱かった)と自作電子楽器に関する話をしてくれた。話の途中でPeterは、彼の楽器用に作ったという手描きの基板を披露した。手描きの基板は前にも見たことがある。雑に描かれたものなら見たことがある。しかし、アートのように作られた基板は初めて見た。それは、曼荼羅のようであり、花のようであり、都市のようであり、面白い自由な形状をしていたりする。

これに私の回路は吹き飛ばされた。従来からの回路のグリッドの外側のことまで、私は考えたことがなかった。製品用の基板は、いろいろな意味からグリッドレイアウトの精密さと効率性が重んじられる。しかし、ひとつしか作らない自家製の基板の場合は、アートとしてデザインできる。想像力の赴くままにデザインすることができるのだ。

Peterの話を聞いてから、私は自作プリント基板の鑑賞に目覚めた。そして、そうした基板を作る人たちを尊敬するようになった。ここに、アートとしてデザインされた基板のごく一部と、自分でデザインするときのためのリソースを紹介しよう。

ところで、Peter Blasserはその夜、紙の基板のことを教えてくれた。そして私は初めて、侘び寂び(壊れたり古くなったもののなかに美を見つけ出すこと)の説明を受けた。日本の美的概念のひとつで、それは私にとって、とても重要なものとなった。

Collin CunninghamとAdafruitによるこの動画で、Collinは手描き基板の必然的な美しさを褒め称えている。彼はスパゲッティのような自作ハードウェアを取りだし、ひとつずつカメラをパンして見せてくれている。バックに流れているのはBartlebeats(Adafruitの従業員、Tom White)が奏でる音楽だ。

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この手描き基板は、見るからに何かの目的があって作られたものだ。これは、『宇宙家族ロビンソン』のロボットB9のレプリカ用に作られた。だがこれは、美しい手作り基板の好例でもある。

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MakerのAlon Grussは、画像の明暗をプリント基板の層に変換するツールを開発した。写真や複雑なアート作品をエッチングできるのだ。ここで GitHubファイルを入手してほしい。

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私はこの既存の基板の上に施された自由形のリフが好きだ。MIT Media Labのデザイナーで技術士のRaphael Schaadの作品。

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そしてもちろん、Ciat-LonbardeのPeter Blasserも忘れてはいけない。美しく、奇抜で、パンクロック的なノンリニアでアーティスティックな基板を最初に教えてくれた人物だ。写真はPeterのSidrassi Organの基板。何年も前に作られた「奇妙なシンセサイザー」だ。eBayで売られていた。

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自由形基板の美はどうにも伝えきれないが、Gijs Gieskesは無視できない。サーキットベンディング、デジタル。サウンドアート、即興基板などを手がける、初期のころからのオーディオノートのひとりだ。

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NovaDroneはサウンドと光のシンセサイザーキットだ。Casper ElectronicsとNonhorseとして知られる音楽コラージュアーティスト、G. Lucas Craneとで共同開発された。このプリント基板は、これまで見た中でもっとも美しいと言っていいだろう。すべての部品を取り付けても、重要な部分は隠れないように、慎重にデザインされている。

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ノンリニアな基板をデジタルレンダリングしたいなら、美しくて機能的な基板のデザインソフト、PCBmodEを使うといい。

手描きの基板をエッチングしたことがない人でも、InstructablesやYouTubeを見ればたくさんのチュートリアルが出てくる。手始めに、これなんてどうだろう。

原文