Electronics

2017.06.13

Micah Tollの新刊『DIYリチウム電池』でリチウム電池を自作しよう

Text by Jeremy S Cook
Translated by kanai

クアッドコプターや小型のロボットの電源には、市販の電池を使用するのが普通だ。しかし、ぴったりくる製品がないことも多い。電圧や容量の問題だったり、単にケースや機体に収まらないという問題もある。もちろん、電池がうまく収まるように本体を作り直すという手もあるが、電池のほうをデザインに合わせられるなら、そのほうがよい。

これは、Micah Tollの新刊『DIY Lithium Batteries(DIYリチウム電池)』の元になっている考え方だ。副題は「How To Build Your Own Battery Packs(電池パックを自作する方法)」。リチウム電池に関する基本的な情報と、それを組み合わせる際の実用的な助言が盛り込まれている。

Tollは、ピッツバーグ大学で機械工学を専攻し、DIY電動自転車を製作するという経歴を持つ。彼は、これまでに少なくとも100個の電池を作ってきた。2017年だけでも、すでに10個以上製作している。

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その経験を活かして、彼はこの本の中で、リチウム電池とその他の方式の電池の原理を解説している。たしか18ページだったと思うが、そこには、リチウム・ポリマー電池が生まれた経緯が書かれている。研究室で開発されたのではないという話が、とくに面白かった。私たちがLiPoと呼んでいる電池はポリマーのパッケージに入っているものの、最初に発明されたときとは異なり、現在、ポリマーは電解質には使われていない。どうも頭が混乱してしまう。というか、正確ではない。どう呼ばれようとも、私たちがLiPo と呼んでいる電池はとても強力で、危険性も持ち合わせている。そこで、この本を読めば、いろいろな電池の正しい扱い方を学ぶことができてよい。

セルの働きを解説したあと、Tollは電池パックの入手方法を紹介し、それらのつなぎ方を説明している。1つ重要なことは、セル同士をハンダ付けしてはいけないということだ。電池を破壊してしまう恐れがあるからだ。

さらに、セルを正しく接続するための、いろいろな電気的な結線方法を詳しく解説し、状況に合わせて調整できるよう、物理的な配置についても詳しく述べている。巻末には、何度もやり直さなくて済むように、円筒形の電池の配列を示したテンプレートも掲載されている。

驚くべきことに、Tollは文章を書いただけでなく、中のすべてのイラストも描いているのだ。次のプロジェクトに革新的な電池が必要になったなら、この本をチェックしておくことをお勧めする。

この本は、電子書籍とペーパーバックの両方が用意されている。私は両方を受け取った。私は紙の本が好きだ。手でページをめくる感触もいいし、欄外に書き込みができる点でも紙がいい。

原文