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2017.06.13

Maker Faire Bay Area 2017 #2 凶悪段ボール破壊ロボットはヘボコンを意識?

Text by Toshinao Ruike

取材のため、Maker Faire Bay Areaの展示スペースを行き来する中、何とも殺伐とした光景が目に留まり、思わず目を見張った。

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アクリルで仕切られたスペースの中で散らばった段ボールの残がい。外枠にガンガンぶつかりながら動き続けているロボット。何が起こった。

 

奥には壊されるまでの時間が表示され、カッターが前部で回転している悪役ロボットがひたすらロボットを壊している。

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“Cardbot(段ボールロボット)”を作って、ぶっ壊されよう!と書かれているが、一体何のことだかわからない。一抹の不安を感じながら展示者に話しかける。

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「中にはArduinoが入ってるんだよ」と中身を見せてくれたのは、地元オークランドのメーカースペース、Ace Monster Toysのメンバーだ。出展していたのは10年以上の経験を持つメンバーを含むロボット・バトルを得意とするチームで、彼らのメイカースペースではここ1年ほどこの段ボール製のバトルロボットのワークショップが定期的に開かれているという。「段ボールで作ったロボットだからいくら壊してまくったところで大したことにはならないし、とにかく作っては壊すことができるんだ」と語る。

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出撃前の邪悪なデストロイヤーたち。「このバトルロボットはロボットというよりはむしろラジコンなんだけど、段ボールだから思い切り壊してもまた外装を作り直せる。ただ修理はしょっちゅう必要だから、そこでスキルが身に付くね」脇のテーブルでは子どもたちが一生懸命段ボールでロボットを作っていたが、それらは後から思いきりこれらのロボットに壊される運命にある。

まるで小さい男の子たちがよくする遊びのように、特にこれという目標もなくロボットとロボットをひたすら戦わせる。その見た目は脱力感たっぷりだ。この感じはどこかで見たことがある、ヘボコンだ。もしかしたらと思い、ヘボコンについて尋ねてみると、「実はこれを作っている時に頭にそれがイメージとしてあったんだよね。」と答えが返ってきた。ネット上で動画が共有され、世界中で人々を楽しませているヘボコンだが、初回から3年経ち、さまざまな方面から見られていることがわかる。ヘボコンがあってもなくても、こういったロボットバトルは始められたかもしれないが、先駆けとして意識されていたという事実は興味深い。

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そのヘボコンだが、日本から来たチームによって今回のMaker Faire Bay Areaでも開催されていた。詳細なレポートは後日デイリーポータルZに掲載される予定だ。

この段ボールロボットの他にも、ベイエリアの会場には技術力を示そうという狙いよりも、とりあえず面白いから作ってみたようなノリの出展が多数あった。こちらのMaker Faireではある種の名物なのか、自作のさまざまな乗り物で会場を移動する来場者たちが目に付いた。上の動画は一部だが、中に電動自転車を入れただけの単純なかぶりもののようなものもあったし、さまざまだった。

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こちらはマスキングテープを使ってさまざまなものを造形するTapigamiによる都市をテーマにした作品。

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こちらはギネス記録を持つ紙飛行機の世界チャンピオンによるブース。インストラクションに従って紙を折ることで誰でもよく飛ぶ紙飛行機を作ることができる。その他にも、様々な飛び方をする紙飛行機のワークショップが行われていた。

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こちらは空気圧式アクチュエーターを制御して、人形を音楽と同期させて動かす展示。

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年齢は聞かなかったがこの8、9歳ぐらいの男の子がお父さんと一緒に作ったようだった。ほぼ一人でブースに立ち、来場者に技術的な詳細を一人で説明している。他にも彼と同じぐらいの年の子がArduinoを使ったラジコンカーを近くで出展していたが、彼も堂々と自分の展示を説明していた。この歳でこんな発明ができるとはすごい!という驚きだけではなく、物怖じせずに人前でプレゼンテーションを行えるという点に大変感心した。Maker Faireのような場所で人前でこの歳から発表を行う機会を持てるということは非常に貴重なことであると思えた。