Crafts

2017.08.01

食べられるイノベーション:DIY、オープンソース、モジュラー式の画期的な縦型水耕栽培装置

Text by Chiara CecchiniTranslated by kanai

edible-innovations-going-vertical-smart-way-farmシンガポールからアメリカ、そしてヨーロッパ全体に向けて、Edible Innovations(食べられるイノベーション)は、生産から流通から販売までのあらゆるステージで世界の食料システムを改善しようと考えるFood Makerたちを紹介しています。私たちといっしょに、この産業の大きな流れを、Makerの視点で探ってみませんか。優れた教育的な核を持ち、未来への偉大なる挑戦のための主要なツールとしてフードイノベーションを推進するFood Innovation ProgramのChiara Cecchiniが、世界のFood Makerたちの顔、話、体験を紹介します。


今日は、人に教えるのが大好きなMaker Pro、Elaine Kungに会って、ゆっくり話を聞くことができた。Elaineはニューヨーク生まれで、MITメディアラボを卒業。Open Agプロジェクトの初期段階に関わった環境エンジニアだ。科学とアートの両方の教育を受け、それらを合体させたプロフィールは、それだけでも魅力的だが、屋内での農業とオープンソースムーブメントに興味を持った彼女は、教育とアクセス可能性との2つに情熱を燃やしている。

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なぜ縦にするのか? 場所の有効利用。地元社会で経済を循環させる。一年中、どこでも収穫できる。輸送や冷蔵がいらない。だから作物は新鮮。

現在、Elaineが取り組んでいるプロジェクトは +farmというDIY、オープンソース、モジュラー式の縦型水耕栽培装置だ。これを使えば、誰でも簡単に室内で野菜を育てることができる。MITを卒業後、彼女はいくつかの発展途上国で農業に従事した。アメリカに帰ると、新しい起業プロジェクトに手を染めたいと思うようになった。彼女はこう話す。「農業に興味を持つ人たちに焦点を当てようと努力してきましたが、彼らはどこから始めたらよいのかを知りません。家で野菜を育てたいと思ったとき、インターネットを検索すればその方法を解説する情報が山ほど出てきます。DIY農業の始め方、チュートリアル、作業リストなどなど、頭がくらくらするほどあります。しかし、何もないところから始めるのは簡単ではありません。農業に関する知識がまったくない人は、どこで何を買い揃えればよいかもわかりません。そんな段階の人たちのための装置を私たちは作ったのです。+farmが、そのギャップを埋めます。屋内での野菜栽培を丁寧に教えています」

さらに、+farmは手を使って食料生産の場所を探りつつ、科学と数学を教えるツールとして、学校にも狙いを付けている。

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しかしなぜ、縦型の栽培装置なのだろう。それを民主化する必要が、どこにあるのだろうか?

縦型の栽培装置には、いくつもの利点がある。新鮮な野菜が手に入る。運送の必要がない。水の節約ができる。害虫を防げる。安全基準に適合した高品質な食品が365日収穫できるなどだ。おもな短所としては、必要な材料にお金がかかることと、情報が多すぎることだ。+farmに必要な材料は、一般の店舗で揃えられる(Amazon、Home Depot、Geower’s House など)。ゼロからプロの農家になるまでの道のりは、以前にくらべて、ずっと簡単で安くなった。

+farmには3つのモデルがある。どのタイプを選んでも、それぞれに照明、棚、水の配管、その他必要な装置が付いてくる。そしてこのプロジェクトの一歩進んだところは、Arduinoの活用だ。「+farmに自動化とセンサーを組み込める可能性を与えたかったのです」とElaineは言う。

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縦型の栽培装置には、制御式環境農法(CEA)技術が使われることが多い。pH、養分、光、温度、湿度などがコントロール可能だ。

水耕栽培:土の代わりに養分を含んだ水が使われる。
空中栽培:空中に露出させ種に養分を含んだ水を散布する。
アクアポニクス:水耕栽培と魚の養殖を組み合わせたもの。魚の排泄物が植物の養分になる。

Elaineは、自分が本当に欲しいと思うものを作り、みんなに広めたいと考える人たちの模範的な人物だ。彼女は、活動を続けるうちに起業家としての自覚を深め、それにより、充実感と力を得たという。彼女は、ユーザーを中心としたデザインの大切さ、そして、ビジネスにおけるインターネットのコミュニケーションとSNSの力をよくわかっている。今回学んだことは、メイキングが私たち人間を進化させ、それぞれが持っている資源を理解し分かち合うきっかけになるということだ。

原文