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2017.10.27

被災地にMakerができること:プエルトリコにソーラーランタンを寄付するHackerfarm

Text by Akiba and Jacinta Plucinski
Translated by kanai

はっきりと覚えている。ガールフレンドのJacintaと深圳のCNC工場から帰ってきたときだ。携帯をチェックすると、プエルトリコが少なくとも6カ月間停電しているというニュースが現れた。「ウソだろ」と私は思った。「ニュージャージー全体が半年以上も停電しているのに匹敵するぞ」と。

[東日本大震災の]津波の後に東京で実施された計画停電のときの気持ちは、今でも忘れられない。暗い部屋に座っているだけで何もできない、あの無力感はかなりのものだった。これまでの人生で、つねに電力が使えるインフラは当たり前の存在になっていた。しかし、その意識はあれで崩された。私の住む地域が停電になると、電車も含む、あらゆるものが暗くなった。どの店も閉まっているので、外出もできない。照明もない。街灯のない歩道を歩くのはとても危険だ。

あのときの自分を想像し、数カ月間にわたって味わったあの状況を思い出すにつれ、私の中に強い感情が湧き上がった。そしてJacintaと私は、プエルトリコの人々のために何ができるか、アイデアを出し合った。大きなことはできないが、ソーラーランタンを送って、暗闇にほのかな明かりを灯すぐらいのことは可能だ。それは、東京の街を真っ暗闇にした大停電の中で、私に大きな安堵を与えてくれたものだ。プエルトリコの人々も同じ状況に置かれている。明かりがあれば、恐怖が和らぎ、安心感が得られる。これなら、今すぐに役に立てる。

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最初の目標は、プエルトリコに100個のソーラーランタンを送ることだった。まずは、友だちや、友だちの友だちに当たり、現地にランタンを届けることができる信頼できる人物を探し回った。そして、友人でオークランドのMothership Hackermomsの共同創設者、Karen Agrestiが、兄弟のJoseが報道写真家としてプエルトリコのサンフアンに派遣されているというVanessa Klarを紹介してくれた。彼は、イラクで児童養護施設の建設を手伝ったり、ハイチの地震と津波の後、インドネシアでの慈善事業を手伝ったりもしている。

私たちは緊密に連絡し合い、資金集めや、サンフアンのJoseにランタンを送るための計画を練った。Joseは、プエルトリコでランタンを必要としている地域を特定してくれた。VanessaとJoseが加わったことで、私たちの計画は大きく前進を始めたのだ。

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深圳から帰ってから、Jacintaと私は数日間かけて最初の50個のランタンを作り、発送した。手伝いたいという友人たちも現れたので、ランタンを購入できるサイトを立ち上げた。買ってもらったランタンを、私たちがプエルトリコへ送るのだ。

反響は予想以上だった。発送する予定だった残り50個はたちまち売れた。この時点で、Hackerfarm Puerto Rico Project(もっといい名前を考える時間はなかった)の目標は事実上達成された。

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今、私たちは、当初の予定よりも大きく成長してしたこのプロジェクトの将来について考えている。寄付に頼らず、自給自足でやれる方法はないものか。まだ明かりが不足しているというので、さらに100個のランタンを送る予定でいるが、次の段階では、プエルトリコでこのプロジェクトを引き継いでくれる人たちを探したいと考えている。私たちは深圳の市場に詳しいので、材料を集めてプエルトリコに送ることはできる。あとは、現地でランタンを製作して、配ったり売ったりしてほしい。

私たちにとっての成功は、このプロジェクトが地元のハッカースペースや教育機関に受け継がれることだ。そうすれば、彼らが地元の人たちにハンダ付けやランタンの作り方を教えることができる。さらに、その売り上げが、さらに多くのランタンの生産や、さらに多くの人たちに作り方を教えるための、またはできれば生産施設の建設のための資金源になればと期待している。そうなれば素晴らしい。

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このプロジェクトに関する詳しい情報、または参加したいという方は、Hackerfarm Puerto Rico Projectのサイトを見てほしい。

原文