Crafts

2017.11.06

気候変動データを鍵編みで毛布化する

Text by Sarah VitakTranslated by kanai

ちょっと見ただけでは、可愛い模様の鍵編みの毛布にしか見えないが、じつはすごい内容が含まれている。この毛布には、過去130年間の気候変動のデータが編み込まれている。ひとつの六角形が1年を表し、20世紀中ごろの平均気温に対する気温の変化を色で示しているのだ。

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この独創的なデータ視覚化毛布は、Lara Cooperの作品。彼女は野生動物の保護に尽力する生物学者なのだが、研究室の外では、Level Up Nerd Apparelという、ナードな衣料品を販売するオンラインショップを経営している。このプロジェクトは、彼女の2つの能力をみごとに合致させたものだ。

Cooperは、昔からあった気温を表現した毛布にヒントを得ている。特定の地域の1年間にわたる毎日の気温の変化を色で表すという編み物のスタイルがある。美しい記録であり、気持ちのいい記念品になる。赤ちゃんの誕生記念や結婚記念によく贈り物として作られている。「その考え方は大好きだったのですが、ちょっと捻りを加えたいと思ったのです。私は科学者なので、もっと大きなスケールで、気候変動を視覚化するものにしたら面白いだろうと考えました」と彼女は話す。

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そこで彼女は、まずデータを手に入れることから始めた。使い物になる正しいデータを探すことが、このプロジェクトでもっとも難しい点だったとCooperは言う。最初に集めたいくつかのデータは、まったくパッとしなかった。しかしその後、ナショナルジオグラフィックのあるインフォグラフィックに行き当たった。それは毛布として表現するのに最適な方法だと感じた。そして、NASAのゴダード宇宙科学研究所から、過去130年間の地球の気温のデータをダウンロードした。さらに、1951年から1980年までの平均気温も手に入れ、それを基準にした温度の変化を6段階の色に分けて縫い始めた。

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Cooperの編み物歴は8年。色を強調するために、比較的シンプルなパターンを意図的に選んできた。手の込んだ他の作品に比べると、これは楽なプロジェクトだったという。製作にかかった時間は(データ処理の時間を除いて)およそ70時間と彼女は見積もっている。

彼女はまず、そのデータの美しさと、グラデーションの見事さに感動した。「この毛布には科学的な内容を取り込みたかったのです。根拠の曖昧な傾向をデータから引きだそうなどとは思いませんでした。なので、数十年間にわたって特徴的に変化する色のグラデーションに衝撃を覚えました」とCooperは語る。

彼女は、このプロジェクトの好感度の高さにも驚いた。FacebookのMarch of Scienceグループに毛布の写真を掲載したところ、1000件を超える「いいね」がついたのだ。

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これはCooperにとって、科学とクラフトを合体させた最初のプロジェクトとなった。もちろん、これが最後ではない。「これは意図せずに、科学とアートが互いを引き立たせ絡み合えることを証明する実例となりました。美しくて心地よくて、それでいて真実を語り、示唆に富んでいます。科学とは正確なものですが、情熱や感情を沸き立たせるところがあります。アートは、視覚的な魅力を使って特定の事実を提示することができます。その2つの分野を個別のものだとか、相容れないものと考えるのはもう止めて、世界のために活用すべきです」

残念ながら、あの毛布はもうない。気候変動を学校で教えたいという教師が購入したのだ。でも、欲しい人は自分で作ることができる。Cooperはパターンと詳しい編み方の解説を公開している。ナードなアクセサリーなど、彼女のその他の作品は、ウェブサイトで見ることができる。

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原文