Fabrication

2017.11.08

TinkerCadを簡単に見くびらないで

Text by kanai

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Geoff Shortsは、TinkerCadを試した感想を書いている。彼は当初、TinkerCadはFusionの機能を絞った無意味なツールだと思っていたのだが、実際は驚くほど使えるものだった。

先日、私はハロウィーンをテーマにした何かをTinkerCadでデザインするという大会に参加した。だが、長年、Autodesk Fusion 360のハードコアユーザーである私には、Fusion 360と比較して機能が限定されたTinkerCadをわざわざ使う意味がまったく理解できなかった。機能的に制約の多いTinkerCadで何が作れるのかと私は不安に思っていたのだが、それは間違いだった。

私は、私が想像していたTinkerCadの限界まで、その能力を引き出そうと考えた。緻密で、滑らかで、角のない有機的なモデルを作るのが目標だ。そうなると、ハロウィーンがテーマということなので、骸骨を作ることに決めた。

最大の問題は、限られた種類の形状を使って、いかにして思い通りの形状を作るかだった。高級なCADソフトを使っている私は、その機能性にすっかり甘やかされていた。TinkerCadでは、創造力と工夫を駆使して、独自の解決策を編み出さなければならない。デザインの方向性を決めて、使用できる限られた形状を上手に利用する方法を考え出さなければ、最終的な形状は見えてこないのだ。つまり、高級なCADソフトを使うよりも、ずっと高度なスキルが要求されるとも言える。

今回のプロジェクトでの最大の成果は、トラブルを克服してメカニズムを組み立てたことでも、設定を調整してプリントの品質を高めたことでもない。もっとずっと大きなものだ。制限のあるメディア(この場合はモデリングソフトだが)を使うと、創造力が強制的に引き出されるということだ。普通はやらないような方法を、いろいろ試してみることになる。目標達成のためには、革新的な技法を生み出す必要がある。それは、私のモデリングと3Dプリントのキャリア全体を通しても、もっとも価値の高い教訓であった。

そこから私は、他のプロジェクトでも、こうした制限を逆手に取る考え方を積極的に取り入れるようになった。モデリングソフトの使用を制限する。使用する素材を制限する。デザインにかける時間を制限する。その結果が楽しみだ。

骸骨の写真は一点しか掲載できなかったが、ご要望があれば、他の写真や.stlファイルや動画を提供したい。

彼のサイトへ行けば、もっと詳しい情報が見られる。また、ファイルもそこで公開されている。

原文