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2017.12.18

Makerが地方経済の原動力になるという新報告

Text by Jon Christian
Translated by kanai

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今の不安定な財政状況の中、Makerコミュニティが地方経済を発展させる強力な鍵になるという、新しい報告書が発表された。

この「報告書」は、National League of Cities(全米都市連盟)、Urban Manufacturing Alliance(都市製造連盟)、Recast Cityが共同で作成したもの。そこには、我々が「Maker起業家」や「Makerプロ」と呼ぶ、手作り品をインターネットや実店舗やMaker Faireや直販市場などで販売する人たちの役割について書かれている。この報告書のもうひとつの協力者であるEtsyのデータによると、全米の郡部の99.9パーセントにEtsyショップの出展者が在住しているとのこと。この非常に高い市場浸透率は、すでに世界中の職人や小規模製造業者に数百億ドルの恩恵をもたらしており、適切に支援することで、さらに大きな力になり得ると報告書は訴えている。

National League of Citiesの経済発展担当者であり、この報告書の作成にも関わったEmily Robbinsはこう話している。「都市の経済が健全であれば、そこには多様性があり、小規模の地元企業に対する寛容性があります。Maker経済は、多くの都市において、経済発展の原動力となる可能性を秘めています。そうしたMakerビジネスや小規模製造業を支援することで、地方の起業エコシステムが大きく発展することを地方議員たちに理解してもらおうと、この報告書を作成しました」

地方行政府や団体による支援があって、Makerはビジネスを成長させることができる。報告書では、街の市場で製品を販売していたが、やがて店を構えるまでに成長した、Steel City PopsとJawanda’s Sweet Potato Piesというバーミンガムの2つのフードMakerを例に取り上げている。行政も、地元のMakerが作る製品を調達することで、その実例を示し活動を先導することができる。

さらに報告書は、ケーススタディーとして、西海岸のMake it in LAとSFMade、Made in NYCとCincinnati Madeを紹介し、Makerプロの支援とブランディングの拠点としての役割を果たす地方団体の重要性についても触れている。これらのグループは、起業初期の企業のためのコミュニティ作りを支援するのに加えて、サプライチェーンや資金調達先の取り次ぎも行っている。

「Makerや小規模製造業者は、独創的な製品を作り、雇用機会を生み出し、起業への敷居を下げるというように、地方都市に大きく貢献している。地方の行政機関や政治家たちは、事業の支援体制を整え、地元産の製品の需要を高め、Makerを支援し、製造や販売が容易に行える場所を提供するといった方針を打ちたてることで、地元のMaker経済の可能性を引き出すための大きな役割を果たすことができる」と報告書は述べている。

報告書はまた、地元のMakerコミュニティを支援すれば、地元経済が強化されるばかりでなく、ベンチャー投資のような旧来の障壁や店舗の高額な賃貸料などが回避でき、より多くのMakerプロが革新的な分野に参加してコミュニティが広がるオマケも付いてくると語っている。

訳者から:Recast Cityは、小規模製造業者と地域開発業者を結びつけて、地域の経済発展を支援する企業。

原文