Fabrication

2018.08.14

Maker Faire Tokyo 2018レポート #6:自宅ガレージで誕生した原付3輪自動車

Text by Takako Ouchi

今年のMaker Faire Tokyoは会場も広く、1/1スケールの戦車をはじめ、大型の作品や大掛かりな体験型展示も多かった。自作原付3輪自動車もその1つ。見た目からして手づくり感満載の自動車は、会場でも大きく目立っていた。

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自作原付3輪自動車(りひと工業自動車部)

「自作の自動車で公道を走る」、これはDIY愛好者の大きな夢の1つだ。世の中的にもエコカー(電気自動車)チャレンジの類は多い。工学系の高校や大学など、自動車部が存在する学校もある。Maker Faire Tokyoでも、過去2014年には九州工業大学の学生プロジェクト「e-car」が、スポーツクーペ「トレノ」を電気自動車にコンバートした実機の展示を行っている(このときは屋外での試乗もあった)。

Maker Faire Tokyoに登場したのは、「りひと工業自動車部」という一人プロジェクトによる原付3輪自動車だ。木と鉄のフレームがむき出しの自作自動車、ホンダの原付き自動車「カブ」を改造している。そして、ナンバープレートが輝いている! つまり、公道を走れる原付き自動車だ。

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ナンバーがしっかり付いている

前からは一見カブには見えないが、後ろをみるとカブだ
前からは一見カブには見えないが、後ろをみるとカブだ

ホンダのカブがベースになっていることから、カブの愛好家が自動車を自作しているのかと思ったのだが、そういうわけではない。最初は、中国製の50ccのエンジンが手に入ったことがきっかけ。それから「もう作るしかないでしょ」とカブを入手し改造が始まった。これが2017年1月。前輪を2輪に変えて、ハンドルを付け、座席も作り、3輪自動車へ。原付自動車として車検が通ったのは、2018年4月。神戸から来ているというりひとさん、実際、日常的に公道を走っているとはいえ、神戸からの自走はさすがに厳しいと、今回は車での搬送だった。分解して車に積み、駐車場でおよそ1時間をかけて組み立てた。

「りひと工業自動車部」のりひとさん
「りひと工業自動車部」のりひとさん

自宅ガレージでものづくり

見てわかるとおり、車体のフレームは木が中心になっている。なぜ、木を使ったかというと、安くて加工がしやすいから。1×4(ワンバイフォー)という、ホームセンターで安く入手できる建材を使っている。他に必要なパーツはヤフオクなどで入手。総費用として20万かかっていない。

溶接も自宅のガレージで行う
溶接も自宅のガレージで行う

むき出しの魅力もさることながら、耐久性などを考えると、やはり屋根やドアなど外装が欲しくなるところ。何しろ、配線もむき出しなので雨が降ったら危ない。ただ、今のフレームではこのまま外装を付けるのは難しいため、いったんバラして作り直す計画だ。その2号機を作るところまでは考えているが、別に作りたいものもあるので、とりあえず計画は2号機までだ。次回のMaker Faire Tokyoでその2号機に会えるだろうか? それにはちょっとハードルがありそうだ。分解して搬送するのは、実はかなりたいへん。今回は、タイヤやマフラーなど全部外し、車体を横倒しにしてワンボックスカーに積んできた。しかし、今、2号機に考えている構造は横倒しが難しいという。

もしくは、耐久性をあげて神戸から自走してくるか? りひとさんは「それができたらいいかなと思っています」と話す。