「Make」とMakerムーブメントについて

「Make」は、アメリカ発のテクノロジー系DIY工作専門雑誌として2005年に誕生しました。自宅の庭や地下室やガレージで、びっくりするようなものを作っている才能あふれる人たちのコミュニティが、どんどん大きくなっています。「Make」は、そうしたコミュニティ同士を結びつけ、刺激と情報と娯楽を与えることを目的としています。「Make」は、すべての人が思いのままに、あらゆるテクノロジーを遊び、いじくり、改造する権利を称賛します。「Make」の読者は、自分自身、環境、教育──私たちの世界全体をよりよいものにするための文化、コミュニティとして成長を続けています。それは、雑誌の読者という枠を超え、全世界的なムーブメントになりました。私たちはそれを「Makerムーブメント」と呼んでいます。

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Maker Faireについて

Maker Faireは、地上最大の(DIYの)展示発表会です。家族で楽しめる、発明と創造と役に立つ情報がいっぱいの展示会であり、Makerムーブメントのお祭りです。そこは人々が自分で作った物を見せ合う場所であり、自分が学んだことをシェアする場所でもあります。

出展するMakerは、技術愛好家、クラフト作家、農家、科学者、ガレージの機械いじり愛好家など多岐にわたり、年齢も経歴もまちまちです。Maker Faireの使命は、このコミュニティを、楽しませ、情報を提供し、結びつけ、より大きくすることにあります。

最初のMaker Faireは、カリフォルニアのサンマテオで開催され、2014年の9回目には、1,100組を超えるMakerと13万人以上もの来場者が参加しました。もう1つのフラッグシップイベントであるWorld Maker Faire New Yorkは、4年間で830組を超えるMakerと8万5千人以上もの来場者を迎えるまでに成長しています。その他の主要なMaker Faireが開催されているのは、デトロイト、カンサスシティ、ニューカッスル(イギリス)、ローマ、東京です。また、各地のコミュニティが主催、運営するMini Maker Faireは、全米、そして世界各地で開催されています。

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日本のMaker Faireについて

2008年春、隅田川沿いのインターナショナルスクールの古い体育館とグラウンドから日本のMakerムーブメントの歴史は始まりました。電子工作愛好者を中心に、空気砲でキャベツを撃ちぬく工業大学の学生、さまざまな音や動きで子どもたちを驚かす作品を持ち込んだ美術・デザイン系の学生たち、デジタルの世界から飛び出したいと思っていたデザイナーやプログラマー、手作りプラネタリウムの作者、テスラコイルを作る高校生など、約30組の出展者と600名の来場者が集った手作りのイベント「Make: Tokyo Meeting」です。

2006年から開催されていた「Maker Faire」をお手本にしたそのイベントでは、完成した作品をきれいに見せるだけではなく、作品が具体的にどんな仕組みで作られているのか、なぜその作品を作ったのかについて、作者と来場者が話し合うことができるイベントとして(主にソーシャルメディアを通じて)評判を呼び、ちょうど時期を同じくして誕生したArduinoなどオープンソースのツールキットや3Dプリンターなどの新しい技術の普及と共に、多くの方に運営面をサポートしていただきながら規模を大きくしていきました。

2012年からは、「Maker Faire Tokyo」としてリニューアルし、より大規模な展示なども加わって、第1回から10倍以上に増えた出展者の皆さんと一緒に日本独自のMakerムーブメントについて模索しています。

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日本のMakeシリーズ(出版物)について

2005年春の「Make」英語版から遅れること約1年、「Make」日本語版 Vol.01が発売になりました。英語版のなかでも特に面白い記事、日本の事情に合った記事を再編集したバージョンです。日本語版の製作記事に関しては、翻訳者の方やライターの方の協力で、日本に手に入る部品に置き換えたり、インチやフィートで記述された寸法をセンチメートルなどに置き換えて、日本でも実際に製作できるようにローカライズを行っています。2012年秋に刊行されたVol.12以降、制作上の都合でしばらくお休みをいただいていますが、リニューアルを行う予定です。

Makeシリーズの書籍の中心は「Arduinoをはじめよう」や「Raspberry Piをはじめよう」など、海外の良質な技術情報の提供です。それに加え、日本では独自の展開として「Made by Hand」「子どもの体験するべき50の危険なこと」など、Makerムーブメントの根底にある考え方について書かれた本についても出版を行っています。

Makerムーブメントを可能にした背景としてよく挙げられるのは、Arduinoや3Dプリンターなどの新しいツールの登場と、ウェブを通じたユーザー同士の情報共有ですが、それ以外に文化的な背景も存在するようです。失敗を否定しないことや、完成度や正しいやり方(=他人の目)を気にせず、自分の作りたいモノをとにかく形にしてみるという米国のDIY文化が持っている優れた伝統も合わせて紹介することで、Makerムーブメントを単なるブームではなく、関わる方々の深いところに影響を及ぼすようなムーブメントにするお手伝いができればと考えています。

他に、日本のMakeシリーズでは、海外からの翻訳書だけでなく小林茂さんの「Prototyping Lab」や、田中浩也さんの「FabLife」など日本でこの分野を牽引している方々の著作も出版しています。

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makezine.jpについて

2007年からスタートした「makezine.jp」(開設当初はjp.makezine.com)は、主に金井哲夫さん(翻訳)と船田巧さん(執筆)の協力を得て、海外と日本のユニークな作品や、この分野における新しい考え方を紹介してきました。その記事の数は2015年3月現在で4,500本近くに上ります。ArduinoやRaspberry Piに興味があって買ってはみたものの、何を作ったらよいのかわからない……というお話もよく聞きます。そんなときには、makezine.jpをチェックしてください。数えきれないアイデアに出会うことができるでしょう。

※「Maker Faire」ならびに「Make:」は、米国Maker Media社の登録商標です。

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Make:BOOKS新刊 「作ることで学ぶ」Makerを育てる新しい教育のメソッド