Science

2009.08.28

宇宙服衛星SuitSat:宇宙でハッキング

Text by kanai

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SuitSatは、最強のファッション系ハッキングだろう。これほど強力な古着のリサイクルは見たことがない。ロシアは、古い宇宙服を宇宙空間で廃棄して大気との摩擦熱で焼却している。燃えてなくなるまでの時間は6~7ヵ月。これらの宇宙服は、その時点で宇宙にあるわけで、そこに人工衛星を埋め込めば、タダで6~7ヵ月は軌道を回ってくれると、あるアマチュア無線家が思いついた。そうしてSuitSatが誕生した。最初のSuitSatは2006年9月7日に放出された。国際宇宙ステーションから外に投げ出されたのだ。
現在、世界のアマチュア無線家が協力して、2つめのSuitSatを2010年の春に打ち出そうと計画している。今回の自家製人工衛星は、実際には廃棄宇宙服に埋め込まれないことになった。宇宙の安全に配慮した構造体を新たに作ることにしている。宇宙服を使うのはSuiteSat Ⅲだ。SuiteSat Ⅱは、次の4つの周波数で電波を送信する。
1. 衛星の名前、コールサイン、バッテリーの遠隔測定値、温度、世界の子供たちへのメッセージなどの音声信号を2m FM波(携帯ラジオやたいていのスキャナで受信できる)で送信する。また、オンボードカメラで低速度走査テレビの静止画放送も行う予定。
2. 連続波(モールス符号)で、衛星ID、衛星コールサイン、 ARISSプログラムに貢献した人たちのコールサインが送信される。
3. 完全な遠隔測定値および大学の協力によって行われる実験データをBPSKで送信。
4. 衛星には、アップリンク70センチ、ダウンリンク2メートルのSSB通信を行う通信帯域幅16 kHzトランスポンダー(リピータのようなもの)が搭載されていて、同時に複数のコンタクトが可能(他の人工衛星と同様に AO-7、FO-29、VO-52)。
SuitSat IIは、ロシアのクルスク州立工科大学の協力で、地球に近づくにつれて変化する真空度を測定する実験を行う。SuitSatの実験でもっとも楽しみなのは、みんなのような一般のハッカーのアイデアで行うものだ。実験装置には、軌道周回中に2分間、プラス5ボルト、最大100mAの電源が供給される。また、RS-485リンクでによる2KBのデータを9600bpsでダウンロードするための2秒間が与えられる。現在、NASAが実験の提出方法を準備している。今から考えておいたほうがいいよ。私はもういくつか考えた。
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– Diane Eng
編集から:日本語で読める詳しい情報は、宇宙服衛星SuitSat-1を受信してみよう!
原文