プラスチック製品の修復は、やったことのない人にとっては気の進まない仕事かもしれない。しかし、替えのパーツがない(たいていそうだ)、締め付けるナットがない、とにかく変形してしまった、割れてしまったなど、そんなときは、プラスチック自体を修復するしか道がない。
プラスチックは、みなさんが思っているより簡単に直せる。熱と圧力を使えば、多くのものを修復することができるのだ。なので、壊れたプラスチック製品を諦めてプラゴミ箱に捨ててしまう前に、ここに示す方法を試してみてほしい。
湯と水
これは世界のフィギュアのコレクションで思いついた技だ。愛好家のフォーラムをいろいろ調べてみると、ちょっとずつやり方が違っていたりする。プラスチック(特に小さくか薄いもの)は、そんなに熱をかけなくても柔らかくなる。コンロに鍋をかけるか、水を電子レンジに入れて、沸騰直前まで温めておく。もう1つ、冷たい水を入れたボウルを用意しておく。プラスチックを湯に浸けて温める。ときどき湯から出して柔らかさを確かめよう。指で整形できるほど柔らかくなったら、元の形に戻して、すぐに冷たい水につけて冷やす。
この方法は、フィギュアそのものだけでなく、曲がったフィギュアの刀も直せる。また、私はこの方法を使って変形してモーターユニットに接続できなくなったハンドミキサーを修理した。15分ぐらいで修復ができてしまった。新しい製品を買わずに済んで助かった。
プラスチック溶接
プラスチック製品が2つに割れてしまったときや、ひびが入ってしまったときは、プラスチック溶接がいい。熱をかけて断面を溶かして、両面を融合させるという方法だ。新たにプラスチックを追加すると接合部分を強化できるが、場合によってはその必要はない。
プラスチック溶接には、それ専用の工具があり、工程に応じてアタッチメントがあるが、簡単な修復なら、安いハンダごてで代用できる。上の動画は、DelboyのGarageによる実演だ。針金を使って割れた部分を「縫う」技も紹介している。
注意: プラスチックを溶かすと有毒ガスが発生することがあるので、換気のよい場所で行うこと。
摩擦熱によるプラスチック溶接
摩擦溶接も、プラスチック同士をくっつける技術だ。小さなプラスチック(たとえば3Dプリント用のフィラメントを短く切るなど)を高速で回転させて、接合したい部分に押しつけてやる。摩擦熱でプラスチックが溶けて、割れた部品は融合する。回転されているプラスチックもそこに盛られるので、より強力になるのだ。
1970年代に、マテルは「Spin Welder」という摩擦溶接用の道具を販売していた。2012年に、Frantone ElectronicsのFran Blancheはそのアイデアを復活させ、安価な回転ツールで摩擦溶接機を作った。これは3Dプリントの失敗部分の修復に非常に役に立つ。本体とまったく同じプラスチックを使って溶接できるからだ。
プラスチックパッチ
大きな穴が開いてしまったような場合は、プラスチックで「継ぎ当て」をする必要がある。この方法は、カヤックをやる人の間ではよく知られている。穴の周囲を熱するための熱源(ヒートガンが最適)と、穴が完全に隠れる程度の大きさのプラスチック板を用意する。非常に高温になるのでグローブも必要だ。十分に熱したところでプラスチック板を押しつけ、熱したスプーンかコテでエッジをスムーズに均す。
注意: 本体と同じ種類のプラスチックを使うこと。
ABSにはアセトンを使う
アセトンは、ABSを溶かすことができる溶剤だ。3Dプリントの達人は、3Dプリントした表面の結着をよくしたり、部品を接着したり、ミスプリントを修復するときによくアセトンを使う。アセトンとABSを混ぜたものは、ABS懸濁液として知られていて、ABS同士の接着や、穴埋めなどに使用される。Matter HackersがABS懸濁液の簡単な作り方を紹介している。
注意: この方法は PLA には使えない。
昔ながらの接着剤
もちろん、接着剤を使うという選択肢はいつでもある。プラスチックには、瞬間接着剤(シアノアクリレート)またはプラモデル用の接着剤を使う。
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