Fabrication

2007.07.20

バイオテクノロジーの未来…

Text by kanai

商品化されたら、このキット全部、Make Storeで買えるようにするからね。 🙂 – Freeman DysonがThe New York Review of Booksに書いたOur Biotech Futureというすばらしい記事だ。-

ランもバラもトカゲもヘビも、すべては献身的で高度な技術を持つブリーダーたちの作品だ。アマチュアからプロまで、何千何万という人々がこの仕事に命を捧げている。そこで想像してみてほしい。もし、こうした人々が遺伝子工学のツールを手に入れたとしたら、どうなるだろう。たとえば、遺伝子工学でバラやランの新種を作り出す園芸家のためのDIYキットだ。ハトやオウム、トカゲやヘビの愛好家が新しいペットを作り出すためのキットも考えられる。イヌやネコのブリーダー向けのキットもできるだろう。
バイオ技術が一般化して、家庭の主婦や子供たちの手に渡るようになれば、爆発的な種類の新生物が生まれるようになる。大企業が好む単作穀物とは反対の方向性だ。新しい品種が行き渡り単作穀物に置き換われば、森林破壊もなくなる。遺伝情報のデザインは個人の楽しみとなり、絵画や彫刻と並ぶ新しい芸術形態になる。
傑作として残るような新作生物は少ないだろうが、多大なる作る楽しみと、動植物の多様性をもたらすことになる。バイオ技術の一般化における最終段階は、バイオ技術ゲームだ。子供から幼稚園児までを対象としたビデオゲームのような遊びだが、扱うのは画面の映像ではなく本物の卵や種だ。生き物を育てることで、子供たちに生命に対する親密な感情を持たせることができる。そのゲームでは、いちばんトゲトゲしたサボテンを作った者、またはいちばん強そうな恐竜を作った者が勝者となる。

Our Biotech Future – The New York Review of Books – [via] Link
訳者から: かなりラジカルな発想だけど、これを書いたFreeman Dysonという人は、論理物理学者で数学者で反国家主義者で核廃絶論者で今年83歳の立派な先生(編注: Make日本語版で連載記事を執筆しているGeorge Dysonの父親でもあります)。軽々しい気持ちで遺伝子ゲームの話をしていないことは、彼の他の著述を見るとわかる。この記事では、やはり規制の問題が語られている。どう規制するか、規制は必要か、社会的に適正な制限とは何か、それをどう決めるか……といった5つの問題点が、バイオ技術の一般化に際してクリアする必要があると言っている。
[原文]