2009.01.20
いいアイデアを盗む:Transmaterials
何年か前に”Where to Get a Good Idea: Steal It Outside Your Group“(よいアイデアをどこから得るか:グループの外から盗もう)という素晴らしい記事を読んだことがある。社会学者のRonald Burtは、創造的なアイデアは魔法のように生まれるものではなく、むしろ、周知のアイデアを新しい領域に再利用することで生まれると指摘している。それって、文房具店で売られているクールな穴開け器がピザカッターに生まれ変わるようなものかも。その2つを繋げる人がいれば、それが実現する。この記事でボクが気に入った一文はこれだ。「社会の交差点に生活している人は、いいアイデアを得る危険性が高い」
これを実現するために、ボクは自分自身を社会の交差点に置くことにしている。ボクはタクシーの運転手に仕事のやり方を聞いたり、ヘアードレッサーの友人にスモールビジネスを立ち上げる際の裏と表を聞いたりしている。Matt Blazeは、コンピューターのセキュリティー技術を錠前業界に応用した実践例でよく知られている。
そしてボクは、かわいいウェブサイトに行き当たった。Transmaterialだ。2週間ごとに、イノベーティブな素材を紹介している。
新素材は便利だが、このサイトが DIY ホビイストにどう役立つのだろうかと、疑問に思うかもしれない。
ボクがこのサイトを気に入った理由は2つある。
1. ボクの範疇を超えたところにある新しいアイデアを見せてくれること。
2. 新素材の多くが、同じような分野横断的思考から生まれているように見えること。
たとえば、ハスの葉の表面には無数の小さなコブがありそれが平面よりも効率的に水を弾く。面白い効果だけど、これをどう利用するかだ。
原研哉は、この効果のあるコーティングを紙の上に部分的に施すことで、新しい加湿器を作った。これにより、他の加湿器よりも広い面積に微少な水滴を無数に並べることができるようになり、結果として、電気を使わずに高効率な加湿が可能になった。生物学者は、この効果を知っていたが、それが空調設備の分野にもたらされたことで、大きな飛躍を見たわけだ。
今回がボクの最初の記事です。これから、たくさんのクールな情報を伝えていけたらと思うけど、まずはボクが好きな考え方について書かせてもらいました。
– John Maushammer
[原文]