Science

2009.03.26

One Earth Designs – 辺境の生活を支援するデザイン

Text by kanai

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写真提供:Scot Frank(Flickr)
数週間前、Amy Smithが主催するMITのグループ、D-Labのイベント会場で、Scot Frankとばったり出会った。
そこで Scotは、One Earth Designsという彼のプロジェクトについて話してくれた。開発途上国の人々に、効率的な技術的支援をするというものだ。
その後、Scotは電子メールで、エネルギーを生み出す仕事や、検査技術について情報を教えてくれた。
太陽光:

これは、軽量な携帯型ソーラー・クッカー / ヒーター / 発電機です。世界の高山地帯で、地元の材料を使って作れるようになっています。1日5時間を燃料集めに費やし、さらにそれを使うことで部屋の空気を汚染するといった状況を変えたいと、村人たちが使いに来てくれました。
現在、私たちはヒマラヤで活動しています。昔から天幕の素材として使われてきたヤクの毛で布を作り、竹で骨組みを作りました。今年の夏に普及活動を開始する予定です。この装置を村人たちが自分で作るようになれば、現金収入を得られるようになり、修理や管理も自分たちでできるようになります。

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写真提供:Scot Frank(Flickr)

ヒマラヤ地方では、燃料のほとんどが動物の糞と木材です。これらの燃料の採取には、男女格差、病原菌の伝染、収入の低下、環境破壊、土地争いなどといった問題がつきまといます。また、これらの燃料を燃やすと、室内の空気汚染や、温室効果ガスの排出といった問題も引き起こします。
私たちは、ヒマラヤ東部の6つの村の住民から、こうした問題を解決するための協力を依頼されました。それに応えて私たちが開発したのが、このSolSourceです。太陽の光を集めて、料理、暖房、低コストな熱電気発電という3つの仕事を1台でこなす、携帯式の装置です。SolSourceの直接的な効果には、室内の空気汚染の改善、局地的気候変動の低減、女性の教育機会の拡大などがあげられます。間接的な効果としては、地元に伝わる知識と材料を使って製造することで、継続的な現金収入が得られるようになり、ヒマラヤ地方の集落に、コミュニティとしての自己効力感を芽生えさせるということが揚げられます。

水:
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写真提供:Scot Frank(Flickr)

私たちはまた、水の水質検査や処理に関する意識を高めるためのプロジェクトも立ち上げようとしています。現在、ヒマラヤとガーナのNGOと、2つの学校の子供たち(サンフランシスコと中国)に簡単な水質検査の方法を教え、自分たちが住んでいる地域の水質データを集めてオンラインに提供してもらうという活動をしています(いわゆる”市民科学”)。これは、住民に飲み水の水質を知ってもらう(または処理法を学んでもらう)だけでなく、すばらしい実践的な科学の学習活動であり、意識を高めることになると考えています。最近の会議で提案されたプロジェクトの概要を下に示します。

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写真提供:Scot Frank(Flickr)
One Earth Designsに協賛するNGOに関する情報:

One Earth Designsは、先進国の人間が使っている資源に手が届かない人々の生活を改善するという、すばらしい活動をしている。地元住民や教育機関の経験や需要をバネにして、命を救い仕事を創出する技術を生み出している。こうした重要なプロジェクトを写真に収め公開することで、Scotと彼の協力者たちは、遠い世界の問題に私たちの目を向けさせてくれる。
我々は、よりよい世界を作るために何ができるだろう。身の回りにあるエネルギーを集めて仕事をさせるには、どうしたらいいか。人の命を助けるための装置を考えたことはある? 辺境の集落で使われている素晴らしい水質試験用のシステムを見たことがある? みんなの意見を聞かせてほしい。また、こうしたシステムの写真やビデオがあったら、ぜひ、MAKE Flickr poolにアップしてほしい。
– Chris Connors
原文