Electronics

2013.10.07

Makerプロジェクトは宇宙へ

Text by kanai

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Makerムーブメントはフルスロットルで進行している。Maker Faire Rome(European Edition)も開かれるし、「Make Something Today」と訴えるポスターをいたるところで目にする(少なくともトロントではそうだ)。Makerムーブメントの「父」とされる企業(Arduino、MakerBot、Arduinoのチップのメーカー、Atmelなど)は、メディアや市場に大きな波を起こし、新しい産業を創造し、破壊を進めている。作るということが世界を席巻し、さらにその先へ進もうとしているようだ。最近は、宇宙を舞台にしたMakerのプロジェクトを多く見るようになった。宇宙用の3Dプリンターなどがそうだ(私の友人たちがMade in Spaceという会社でそれを行っている)。

なかでも素晴らしい例として、AtmelがArduLabと共同で開発した、世界初の、宇宙実験用のオープンソースプラットフォームがある。誰でも5000ドル以下で、宇宙に機器や実験機材を送り込み、そのデータやビデオを取得できるというものだ。これを使えば、宇宙に植物を送って、どのように成長するかを見るといった実験もできる。婚約指輪を宇宙に飛ばして回収するとか、音楽ビデオを宇宙で作るとか、無重力状態で3Dプリントがどのように行われるかを実験するなど、馬鹿馬鹿しいものや楽しいものも考えられている。彼らは、こうしたオブジェクトを遠隔操作して、地上でリアルタイムにそれを見るための技術を開発しているのだ。このプラットフォームはAtmelで人気のマイクロコントローラー、ATmega2560で制御されるので、Arduinoと同じようにプログラムができる。ArdulabとMade in Spaceには類似点が多いが、そのひとつにAtmelのチップを使っているという点がある。もうひとつの類似点は、どちらの会社も、NASAのSingularity Universityの同窓生が経営しているという点だ。

ArduLabは、最初の打ち上げを9月17日に予定している(日本語版編注:元記事は9月12日に掲載されました)。この日に会社の設立と宇宙実験の両方を行うということだ。ArduLabの共同創設者、Manu Sharmasはこう話している。「Ardulabの国際宇宙ステーションへの、民間宇宙船(オービタル・サイエンシズ社のアンタレスロケットとシグナス宇宙船)による打ち上げがゴーになったと知らせがありました。シグナスがISSにドッキングすると、宇宙飛行士がArdulabを含むペイロードを降ろして、ラックに組み込み、コンピューターに接続します。そこで実験が行われ、現在開発中の新技術がテストされるのです」幸運なことに、私は最初に打ち上げられる機器に名前を刻んでもらえた。私は宇宙には行かないが(今はまだね)、私の名前は宇宙に行く(写真)。

この打ち上げは、Makerムーブメントにとって大きな節目となる。ArduLabを使えば、日常的に宇宙とつながることができる。Manuはこう話す。「Atmelの協力で、ArduLabの基本要素を含むフルパッケージの宇宙プログラムを立ち上げ、低軌道宇宙船で宇宙に打ち上げることができます。高校でも大学でも、5000ドル以下で、教室を宇宙実験室にできるのです。すべての学生が計画に参加し、機器を作り、宇宙に飛ばすのです」彼らが今開発している新しい機能を使えば、「教育機関は本当の宇宙実験を基本としたカリキュラムが組めるようになります。学生も先生も、ひとりひとりがISSでの宇宙実験が行えます。そして、ほぼリアルタイムでArdulabと交信できるのです」

今、そして将来、数百、数千、おそらく数百万のヒューレット・パッカードやスティーブ・ウォズニアクがいる。彼らは家庭にコンピューターを持ち込もうと奮闘したが、これからはMakerが遠い宇宙まで手を伸ばして、地上から宇宙までの間でのあらゆる研究ができるようになる。Makerの作ることへの情熱によって、より大きな、知的で人間的なムーブメントが、大好きなことをしている人たちの間に起こり、そこに大きな意味が生まれる。Makerムーブメントに参加することで得た技術(3Dプリント、Arduinoのプログラミング、ラジコン・クアドコプターの製作など)がプロジェクトに活かされ、世界に巨大なインパクトを与える。イノベーションのサイクルはどんどん短くなっている。新興企業が次々に現れ、物のインターネットが活躍する。Makerは無限の彼方へ!

(情報開示:Made in SpaceとArduLabの創設者は私の友人です。また私は、Atmel、ArduLabその他の企業のMakerエバンジェリストを務めています)

– Jennifer Turliuk

原文