2009.06.18
書籍『考えなしの行動?』
太田出版の村上清さんから新刊『考えなしの行動?』の案内をいただきました。「Make」がきっかけで出版された本とのことです。
「Make」日本語版第1号の巻頭コラム「ユーザーがモノを作る時」内で、Marc Frauenfelder氏がインスピレーション源の1冊として取り上げていた本 “thoughtless acts?” が、日本語版として刊行されます(6/18、太田出版刊)。「ティーバッグの糸をカップの取っ手に巻きつけてタグが落ちないようにする」「すぐ使えるよう鉛筆を髪に差す」「故障したパーキングメーターに紙袋をかぶせる」等々といった、 “日常生活で人々が周囲の事物に順応・反応、時に利用している様子” を、124例の写真とコメントで収集・解説した本です。
邦題は、ずばり『考えなしの行動?』。純粋に読者として楽しんでいた「Make」誌でこの本の存在を知って以来、どうにも好奇心を抑え切れずに原書を取り寄せた私(=担当編集者)ですが、現物がまた想像以上に新鮮で素晴らしかったため、そのまま一直線に(万難を排し?)邦訳刊行にまで至ってしまいました。原著者はサンフランシスコのデザイン・ファームIDEOのディレクター、ジェーン・フルトン・スーリ氏。そして翻訳は、映画『スカイ・クロラ』の原作者であり作家・工学博士の森博嗣氏です。
膨大な著作が刊行されている森さんには、「アイスクリームのデザイン」と題された短いエッセィがあります(『森博嗣のミステリィ工作室』所収)。これは小学生時代の森さんの記憶ーー”買ってもらったアイスクリームをなめながら父親と歩道橋を渡っているとき、不注意にもクリーム部分をそっくり落としてしまった”ーーから、その対処法として「コーンの形状」「クリームの埋め込み深さ」「ドライアイスの使用」「溶けないクリームを作る」etc…といった連想/考察が展開されるものなのですが、本書では、そんな(?)森博嗣さんが書きおろした、訳者まえがきも楽しめます。
原著者のジェーンさんと親交あるプロダクトデザイナ−、深澤直人さんにもご寄稿いただいたこの1冊、ぜひ日本のMakerの皆さんにもご一読いただけるとうれしいです。
『考えなしの行動?』(書籍情報ページ)
森博嗣さんエッセィ「アイスクリームのデザイン」PDF(国立情報学研究所論文情報ナビゲータより)
村上さん、ありがとうございました!