Electronics

2009.11.27

オモチャから発想したハイテク診断チップの安価な製造法

Text by kanai

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子供のオモチャから、ハイテク診断チップの安価で簡単な製造方法が生まれた。(TR35に選ばれたMichelle Khine)……マイクロ流体チップは10万ドル以上する。

どうしてもマイクロ流体デバイスを安く簡単に作る方法が思い浮かばなかったKhineは、子供のころに遊んだオモチャ、Shrinky Dinksを思い出した。薄いプラスティックのシートに絵を描き、オーブンで温めて縮ませるというやつだ。「解像度を調整してプリントアウトした”デザイン”を縮ませることができたら、マイクロ流体に適した幅の通路を作れると考えたのです」と彼女は語る。
そのアイデアを実証するために、彼女はAutoCADでパターンを作り、Shrinky Dinkにレーザープリンターで印刷してオーブントースターに入れた。プラスティックが収縮すると、インクの粒子も凝縮されて盛り上がり、小さな山になった。彼女が期待していたのはこれだ。冷めたShrinky Dinkの表面にPDMSとして知られている流動的なポリマーを流し込んだ。ポリマーが硬化すると、そこにはインクの山によって作られた通路ができた。ポリマーをShrinky Dinkの型から剥がせば、ファストフードよりも安いマイクロ流体デバイスのできあがりだ。
Khineはこのチップを実際に実験で使っている。しかし彼女は当初、オーブントースターを使ったこのハッキングが、それほど画期的なものだとは思っていなかった。「ちゃんとした装置が手に入るまでの、ほんのツナギのつもりでいたのよ」とKhineは話す。しかし、このワザを短い論文にして発表したところ、世界中の科学者から大反響が押し寄せた。「みんながこんなに興味を持ってくれるなんて、思ってもみなかったわ」と彼女は驚いている。

– Phillip Torrone
訳者から:TR35とは、MITが発行しているTechnology Review誌が、35歳以下のイノベーティブな人々に贈っている賞のこと。
原文