Electronics

2012.02.16

電子立国の原点に工作の文化があった

Text by Takumi Funada

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高橋雄造著『ラジオの歴史 工作の〈文化〉と電子工業のあゆみ』という本を読んでいます。ラジオの技術開発史から電子工業の黎明と発展を読み解く書籍は他にもありますが、本書の特徴は「ラジオ工作少年、アマチュア、フリーランサーの技術者、ラジオ商、部品製造の中小企業などの非公式セクター」の貢献が日本の電子工業の発展に欠かせなかった、という視点で書かれている点にあるでしょう。解説に「本書は、アマチュア精神へのオマージュであり、収録された457 点の写真・図版は、それだけでラジオ博物館の趣をなす」とあるように、興味深いビジュアルも豊富。ワタクシは後ろのほうから読んでいるのですが、最後の章には「文芸に見るラジオ、女性とラジオ」という一節がありました。女流作家によって書かれ、1960年に刊行された『殺人配線図』なる推理小説があるようです。殺人のトリックが5球スーパーラジオの回路図に隠されているとのこと。もう読みたくてたまりません。