2012.11.20
MAKE it in China:いい工場を見つけるには
中国の工場に関しては、怖い話をたくさん聞くが、どうすればそういう事態を避けられるのか? 失敗をあれこれ危惧しても意味がない。中国であろうとなかろうと、失敗はある。たとえ最高の計画を立てたとしてもだ。
しかし、工場の選択という点では、ちょっと歩いてみるだけでハッキリと質の善し悪しがわかる指標がある。下にそのリストをまとめた。D2M AsiaのLarry TsaiとAsian OpsのBob Jordanという2人のエキスパートの協力を得て、それを下のリストにまとめた。これは予備的な評価方法だ。もし下の条件のいずれかひとつでも外れることがあれば、その工場に仕事を発注するべきではない。
1. 従業員がハッピーか
よい工場では、従業員の性別や年齢が均等で、清潔はユニホームを着ている。作業場も清潔で照明が明るい。ハンダなどの有害なガスを発生する作業場では、換気が十分に行われている。また従業員には休憩時間が与えられている。ただし、脇でくつろぐ従業員を探さないかぎり、これを確認するのは難しい。
2. 作業内容が明確で明示されているか
作業の最新の指示が英語と中国語でハッキリと書かれていること。組み立てラインのテスト後に、合格した製品と不合格の製品が目に見える形で掲示されていること。
各ラインまたはセクションの開始地点に、その作業の責任者の写真が掲示されていること。その写真の人物がラインの中の誰かを識別できること。研修の証明書がたくさん壁に飾られていること。何年目の従業員が認定を受けたか、そしてその人がまだ現役で働いているかを確認する。
優れた工場では、一目見ただけで、どの部門で何を作っているか、また材料の流れもわかる。物がどのように流れているかを、遠慮なく質問しよう。
3. 素材に厳格なラベリングをしているか
素材にきちんとラベルを貼って適切に保管している工場では、材料を間違えるようなことはない。これはまた、品質プロセス、在庫と材料の管理が行き届いていることも示している。
組み立てラインに沿って配置される保管容器にも、部品番号や仕入れ先などのラベルが貼られていること。組み立てた製品を入れる容器は別にあり、排除された製品を入れる容器にはハッキリと印が付けられていること。
4. 安全指導が徹底されているか
安全指導がハッキリ示されていて、従業員もそれに従っていること。たとえば、私たちがBobと工場内を見学したとき、マスク着用と書かれたエリアで、マスクをせずに働いている従業員がいた。そんな工場には発注できない。
また、大きな音を立てる機械を使う作業場では耳栓、グラインダーを使う作業場では防護メガネを着用するといった具合だ。
5. 自動化されているほどよい
質の低い工場では、簡単に自動化できるような仕事に安い労働力を使っている。電子回路や複雑な製品を作らせる場合、これは非効率だ。ロボットなら、熟練工よりも速く正確に作業ができるため、自動化には大きな節約の意味がある。プリント基板用のAOI(光学式自動外視検査)機器を導入している工場に出会えれば、聖杯を見つけたようなものだ。私たちが見学した工場に、ボタンをひとつ押すためだけにロボットアームを使っているところがあった。そんな先端的な工場に発注するだけの資金がない場合でも、ロボットライフの兆候は見てわかる。
6. テスト、テスト、テスト
品質が重要だと語る工場はたくさんあるが、「信用して検証する」必要がある。これはLarryの言葉だが脳ミソに突き刺さった。工場が定めた品質維持の慣行に従った明確な作業、手続き、文書があるかを確認しなければいけない。
品質は、製造工程全般をとおして確かであるべき特質でもある。品質は最終的な結果ばかりではない。工程そのものでもある。品質とは、工場が製品を作る際に用いる考え方心やアプローチの中に見えるものだ。それは、仕入れた材料を検査する受け入れ検査(IQC)に始まり、ラインの最後に製品を検査する出荷検査(OQC)まで続く。
よい工場には、電子機器を殺すための専用のエリアがある。そこには大抵、「シェイク・アンド・ベイク」マシンがある。海外発送を再現して製品を投げつけたり、極端な高温や低温にさらす機械だ。これはすべて、こちらが示したテスト用ガイドラインに追加して行われる。
これで、どこを見ればよいかがわかっただろう。さあ、工場見学ツアーに出かけよう! Nomikuはひとつの工場に決めるまでに15カ所の工場を見学した。
大丈夫。中国にも良心的で効率的な工場がある。諦めちゃいけない。妥協してもいけない。中国ではすべてが柔軟で、あらゆることが可能なのだ。クライアントが工場の倫理観に深く影響を与えることもできる。
MAKE it in China は、中国での製造に関する情報をNomikuの共同創設者、Lisa Fettermanの視点でお届けします。
– Lisa Q. Fetterman
[原文]