Electronics

2008.10.30

今月のWiredに乗ったオープンソースハードウェアの記事

Text by kanai

arduinoguys.png
Clive Thompsonは、Wired11月号にオープンソースハードウェアの記事を書いた。話題の中心は Arduino だった。

「これを見てくれ」とMassimo Banziは言った。その大柄で顎ヒゲを生やした技術者は、ピザオーブンほどの大きさの、ピック&プレース方式のチップ製造ロボットの様子を見に、ふらりとやって来たのだ。機械は活発なハム音を発し、小さな電子部品を掴むと、基盤の決められた穴に差し込んでいく。まるで超活動的なニワトリがエサをついばんでいるようだ。私たちは、今、DIYガジェット工作愛好家の間で大人気のこの基盤を作っているイタリアの会社、Arduinoが使用する、ワンルームの組み立て工場内に立っていた。この工場は、ミラノの中世風の丘の麓でひときわ目立った存在だ。開け放たれた扉からは小鳥のさえずりが流れ込み、白づくめの従業員たちは、たっぷりのコーヒーブレイクを楽しんでいる。しかし、今日はBanziにとって1日中が仕事の日だ。アリゾナからやってきた見込み客の団体が、彼の事業の見学に来ているのだ。Banziは基盤を1枚取り上げ、そこに小さく印刷されたイタリアの地図を示した。「わかりますか? これがイタリアの工業品質です!」と彼は話し、笑った。「だから人気なんです」 事実、2年前に大量生産を開始してから、世界中で5万ユニットのArduinoを売り上げている。インテルの基準から見れば小さな数字だが、非常に特殊化された市場での新興メーカーにしてみれば大きい。しかし、本当に驚くべきことは、Arduinoのビジネスモデルだ。彼らは、すべてを無料で配布することで会社を立ち上げたのだ。彼らのウェブサイトには、すべての回路図、設計ファイル、Arduino用ソフトウェアといった企業秘密が、誰でも見られるように公開されている。自分で作って売っても構わない。その際、Banziはロイヤリティーなどは一銭も受け取らない。訴えられることもない。むしろ彼は、みんながそうしてくれることを望んでいるのだ。

Wiredの記事の全文はこちら:”Build It. Share It. Profit. Can Open Source Hardware Work?”(英語)

– Becky Stern
原文