Fabrication

2009.03.16

オープンソースプロジェクト HIDaspx

Text by Takumi Funada

hidaspx55.jpg
hidmon1.png
HIDaspxは千秋広幸さんが中心となって開発が進められているAVRマイコン用のプログラム書き込みツール。おもな特徴は3つ。
ひとつめは、パソコンとの接続にUSBのHIDクラスを用いている点。HIDはキーボードやマウスの接続に使われる仕様で、どのパソコンも標準で対応している。つまり、HID準拠のデバイスは、ドライバをインストールしなくても使用可能。敷居が一段下がるわけだ。
ふたつめの特徴は、そのHIDクラスをATtiny2313というマイコンひとつで実装している点。この部分はObjective Development社のオープンソースプロジェクトAVR-USBをベースにしている。tiny2313は、秋葉原でも100円で買えてしまう超廉価マイコンだ。それに12MHzの水晶やツェナダイオードなどの部品を加えるとできあがり。とても安上がり。
特徴その3は、IOモジュールとしても使える点。ジャンパを一カ所変更するだけで、ライタからIOモジュールへと早変わり。hidmonというパソコン側のツールを使って、tiny2313のIOをコントロールすることができる。機能はシンプルで、仕組みを理解しやすい。(写真はHIDmonのgraph機能でポートBを視覚化したところ)
HIDaspxはオープンソースプロジェクトとして開発が進められ、すべてのソースコードと回路図等が公開されている。また、workshop Nakによって専用のプリント基板も用意されているので、サクッと作ってみたい、あるいはたくさん欲しい、というニーズにも対応している。上の写真は2種類ある基板のうち、電圧レギュレータやLED類が省略された「HID USB I/O」を組み立ててみたところ。ライタとしても、IOモジュールとしても、すぐに使うことができた。
「でも、すでにライタを持っている人じゃないと、作れないのでは?」という疑問が湧くかもしれない。たしかにそうだ。いわゆるマイコン書き込み器における鶏と卵問題である。その解決策のひとつとして、RS232Cインタフェイスだけで書き込みを行う方法がHIDaspxのページで紹介されている。多くのアイデアと開発の結果が着実に積み上がっている興味深いプロジェクトといえそうだ。