Science

2009.03.03

昭和15年の科学雑誌

Text by Takumi Funada

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いつも英語記事の翻訳をしてる金井ですが、今回、ちょっと面白いものを発見したのでご報告。
Yahoo!オークションに何か出物はないかと眺めていたら、こんな古書に出会った。昭和15年発行の『学生の科学』という雑誌だ。誠文堂新光社が出していたもので、つまり『子供の科学』の前身。しかし、時勢が時勢だけに、雑誌のサブタイトルは『模型飛行機讀本』であり『科學兵器讀本』とのこと。この号の特集は『蒸気動力模型戦車設計図青写真』と『快速ロッキード追撃戦闘機設計図』だ。
全体を通して、戦闘機や大砲など戦意高揚色の強いものになっているが、後半には『単球受信機の作り方』や『顕微鏡幻燈の作り方』(これはそのまま今のMakeでやってもおかしくない楽しげなもの)など、ほのぼのとしたプロジェクト記事も見られる。
『発明指導研究室』という発明投稿記事には、『ロボット模型飛行機』なる投稿があった。飛行中の風を利用して垂直尾翼の方向舵を動かすというもの。当然、ラジコン飛行機ではない。
この発明に対する評はこんな風に始まる。「同君の手紙によれば、八幡商業に通学中で、将来は空軍の荒鷲隊で活躍したい希望とのこと、大いに飛行機の研究を続けて下さい」
横長の写真は、灯台の自動点火装置のカラー折り込み図解記事。
昔の科学雑誌から、今に活かせる情報が得られることは少ないが、取材記事や、とくに広告から当時の物作り愛好家の生活感がダイレクトに伝わってくるのが面白い。自分で工夫して何かを作るという精神は、まったく共通しているように感じられた。
この雑誌を買った福ほん堂には、ほかにも古い科学雑誌や鉄道雑誌が数多くある。意外に状態がよい。

(金井哲夫)